委 員 村 上 ひとし 委 員 平 岡 大 介
委 員 堀 川 素 人 委 員 石 川 佐和子
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開 議 午後1時
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○佐々木みつこ 委員長 ただいまから、第二部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、松浦委員からは堀川委員と交代する旨、届け出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第2款 総務費 第2項 市民生活費のうち関係分について質疑を行います。
◆國安政典 委員 私からは、
冬季オリンピック・
パラリンピックの招致活動にかかわる機運をどのように醸成していくのか、その取り組みについて質問させていただきたいと思います。
冬季オリンピック・
パラリンピックの招致には、言うまでもなく、一人でも多くの市民の支持を得ることが重要であると考えております。そのためには、多くの市民に
オリンピック・
パラリンピックの魅力や迫力に直接触れてもらって、そのすばらしさや開催意義を実感してもらう必要があるというふうに考えます。
そういった視点で見たときに、札幌市でも、
サッカー競技が行われる来年の東京2020大会は絶好の機会になると考えています。この機を的確に捉えて、招致機運の醸成を図っていくべきであると考えているところでございます。その際、特に重要となるのは、
オリンピック競技に比べてまだまだ認知度が低いと言わざるを得ない
パラリンピック競技への関心を高めることではないかとも考えます。
これまで、我が会派では、東京2020大会出場国の事前合宿の際に、選手と市民が直接触れ合って、スポーツや文化を通じて交流することができる
ホストタウンの取り組みの有用性について訴えてまいりました。その中でも、特に
パラリンピアンの事前合宿を誘致して、
パラリンピアンと市民との交流をきっかけに心の
バリアフリーを推進する
共生社会ホストタウンといった取り組みは、障がいの有無などを超えて、互いの個性や違いを認め合う共生社会の実現を目指している札幌市としても、積極的に活用するべきものではないかと考えます。
私どもが
オリンピック・
パラリンピック招致を推進する最大の理由も、ここにあると言っていいかと思います。残念ながら、現在まで、
共生社会ホストタウンとして登録している自治体は、2030年大会の招致を目指している道内に一つもなく、全国でもたった13件にとどまっております。確かに、
共生社会ホストタウンの取り組みは、相手国の選定を初め、日程調整や練習会場の確保、さらには、
バリアフリー対応を含めた支援体制の確立など、非常に難しい課題が数多くあることも理解しているところであります。しかしながら、やはり、札幌市が積極的にこの取り組みを進めることが、2030年大会の招致機運の盛り上がりや、私たちが目指している共生社会の実現につながっていくものであると考えます。
そこで、質問ですが、東京2020大会の
共生社会ホストタウンについてどのように取り組んでいかれるのか、具体的なお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
◎吉田
国際大会担当部長 東京2020大会の
共生社会ホストタウンについてのご質問でございます。
市民誰もが、互いに人格と個性を尊重し、支え合う共生社会の実現を目指す上で、スポーツの力を通じた取り組み、とりわけ
パラリンピアンと子どもたちとの触れ合いや交流の場を創出することは、極めて効果的であると認識しているところであります。
このため、スポーツ局では、これまで、2017年
IPCノルディックスキーワールドカップ札幌大会で、子どもたちと選手との交流や、多くの市民が集まる地下歩行空間での表彰式などの実施に努めてきたところであります。この大会後のアンケートでは、多くの市民や子どもたちから、
パラリンピアンの力強さや迫力を実感し、障がいのある方への理解が深まったとの回答が寄せられるなど、
パラリンピアンとの交流が共生社会への理解や心の
バリアフリーを進める大変よい機会となったと考えております。また、事前合宿としましては、昨年2月の
平昌パラリンピックの直前に、ノルウェーやアメリカなどの
車椅子カーリングチームの受け入れなどにも取り組んできたところであります。
そこで、現在、スポーツ局では、こうした取り組みを踏まえ、来年の東京2020大会においても
パラリンピアンと市民との交流機会を創出するため、
共生社会ホストタウンの申請に向けて取り組みを開始したところであります。具体的には、本市での合宿実績があるノルウェーやアメリカに加え、パラノルディックスキーワールドカップに参加するドイツやイギリス、
フィンランドなど、東京2020大会の終了後も冬季の
パラリンピック競技を通じて継続した交流が見込める国々の大使館に対して働きかけを開始したところであります。また、今後は、これらの国々の選手や競技団体などに対しても働きかけを重ねてまいりたいと考えているところであります。
こうした取り組みを進めることで、
共生社会ホストタウンとして、
パラリンピアンと市民との交流を促進し、心の
バリアフリーの推進や招致機運の醸成にもつなげてまいりたいと考えているところであります。
◆國安政典 委員 この取り組みが極めて効果的であった、そして、札幌市が
共生社会ホストタウンの申請に向けて取り組みを開始したことは評価させていただきたいと思います。そしてまた、東京2020大会は夏季競技であることから、2030年大会の招致を見据えて、
冬季パラリンピック競技を通じて継続して交流が可能な国々を対象としているということで、よろしいのではないかと思うところであります。
先ほども申し上げましたとおり、相手があることですので難しいとは思いますけれども、招致が実現する、しない、いずれにしても、各国に対して札幌市が可能な限りの働きかけをしていくことは、そのこと自体、札幌市が
パラリンピック競技や障がい者スポーツへの理解、関心が高いことを世界各国に示すことにもなりますから、そうした取り組みが共生社会の実現につながっていくものであると考えます。したがいまして、今後とも、これまでの
事前合宿受け入れなどと同様に、継続して取り組んでいくことを要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
機運醸成へのもう一つの視点ということで、以前から提案してまいりました「虹と雪のバラード」を活用した取り組みについて伺います。
1972年
札幌冬季オリンピックの歌であります「虹と雪のバラード」は、当時、NHKの「みんなのうた」で放送され、合唱曲として多くの小学校で歌われるなど、大会当時を知る世代に今もなお高い人気を誇っている曲であります。私自身も、当時は小学生でございまして、「虹と雪のバラード」は今でも心に残っております。
先月14日には、イランカラプテくしろさっぽろ国体の開会式が札幌で行われ、トワ・エ・モアのお二人に今も変わらぬ美しい歌声を披露していただいて、会場は大いに盛り上がったと聞いております。また、それに先立って、先月4日には、第70回さっぽろ雪まつりの開会式に合わせて、
札幌市営地下鉄で初めて、
接近メロディー、いわゆる駅メロとして「虹と雪のバラード」が導入されました。この事業は、1972年大会を知る世代のノスタルジーに訴えかけるとともに、大会を知らない若い世代にも、かつての人々がそうであったように、
オリンピック・
パラリンピックへの関心を持ってもらい、より多くの市民の皆様に札幌と
オリンピックのつながりを再認識していただこうと始めた取り組みであると認識しているところであります。
先日、ある新聞紙面で、イベントで「虹と雪のバラード」を聞き、
札幌オリンピックを思い出して大きな高揚感に包まれましたと、当時を知る世代からの意見が紹介されていました。一方で、若い世代が駅などでこの曲を聞いてどのように感じているのか、大いに関心があるところです。
そこで、質問ですが、駅メロ導入から約1カ月を経て、これまで市民からどのような反響があったのか、特に若い世代における反応について伺います。
◎佐藤
招致推進部長 ただいまのいわゆる駅メロ導入への市民からの反響についてお答えいたします。
導入初日の2月4日には、テレビ局5社、新聞2社による取材があり、マスコミにも大きく取り上げていただきました。また、当日午前中には
到着メロディーの動画が投稿されるなど、SNSを中心に賛否両面において素早い反応が見られ、まずは若者を中心に多くの市民に関心を持っていただけたことが一つの成果だったと認識しております。
数多くの投稿の中には、生まれるずっと前の曲ですが、その時代があったから今がある、あるいは、地下鉄到着のときに流れるのはよい、
札幌ならでは、このようなコメントも見られたところです。また、札幌市に直接届いた意見としては、音量が大きいといった苦情や否定的な意見もありましたが、おおむね好意的な意見が多く、例えば、この曲を知っている世代の方からは、懐かしく思った、郷愁を感じるメロディーなどの声も寄せられております。若い世代からも、
札幌オリンピックの曲とのことで、年齢的に聞いたことはありませんでしたが、札幌らしいきれいなメロディー、これからも続けてくれるとうれしいなどの声がありました。総じて、当時を知る世代はもちろんのこと、若い世代の方にもこの曲が札幌らしい曲として好意的に受けとめられているものと認識しております。
◆國安政典 委員 やはり、当時を知る世代からは懐かしく思ったなどの好意的な意見が多く、また、曲を知らなかった若い世代にも魅力が伝わっているということでございました。多くの市民が日常生活の中でこの曲に触れることにより、札幌と
オリンピックのかかわりについて考えるきっかけとなって、再び札幌に
オリンピックを招致しようという機運にもつながるというふうに思いますので、この曲を活用した取り組みを継続的、積極的に展開していただきたいと思います。
札幌市は、今年度、駅メロのほかにも、若者向けに
アレンジコンテストを実施するとともに、国体以外にも各種の
ステージイベントや啓発活動でこの曲を積極的に活用してきたことは承知しております。また、平成31年度予算の概要にも「虹と雪のバラード」を活用した取り組みという事業が計上されておりまして、今後も活用を図っていく考えだと思います。私もなかなかそんなにアイデアが出てくるわけではありませんし、いろいろな制限があるかもしれませんが、例えば、私がかねてから提案してきた市役所庁舎の電話の保留音への導入とか、携帯電話の着メロとか、アイデア次第でさらに多くの市民の皆様にこの曲に触れてもらう機会をふやせる余地はまだまだあると考えています。
そこで、次の質問ですが、「虹と雪のバラード」の今後の展開についてどのように取り組んでいくのか、伺います。
◎佐藤
招致推進部長 ただいまの「虹と雪のバラード」の今後の活用についてお答えしたいと思います。
先ほど委員から触れていただきましたが、今年度は、駅メロ事業に加え、大会を知らない世代にもこの曲に親しんでもらえるよう、若者に広く参加を呼びかけ、「虹と雪のバラード」
アレンジコンテストを実施したところです。応募のありました15曲の中から選ばれた最優秀作品については、3月17日にチ・カ・ホで行われる2019ワールドパラノルディックスキーワールドカップの総合表彰式に先立って市民の皆様にお披露目するなど、会場全体の盛り上げにも活用してまいります。また、
アレンジ音源については、来年度早々にも、市内の小・中学校約300校に
オリジナル曲とともにCDを配付し、例えば登下校時のBGMや運動会での入場曲などの活用方法について、教職員の研修会などに出向き、直接、提案してまいりたいと考えています。さらに、より多くの方々にこの曲に親しんでもらえるよう、昨年、ウインタースポーツの普及振興に関する連携協定を結んだ
コンサドーレ札幌などの
プロスポーツチームに対し、市内で行われる試合での活用を働きかけているところです。
先ほど委員からご提案いただきました電話機の保留音につきましては、まずはスポーツ局で使用している電話機に先行的に導入する方向で検討してまいりたいと考えています。
◆國安政典 委員 さまざまな機会にこの曲の活用を考えているということでした。
また、電話保留音についても、まずはスポーツ局に導入する方向で検討するという答弁をいただきました。今後は、スポーツ局だけと言わず、ほかの部局ともしっかりと連携して、多くの部局で採用していただくよう要望したいと思います。私は、それほど反対はないのではないかと思っています。逆に、なぜ今井美樹なのか。嫌いなわけではありませんし、「PRIDE」はいい曲だと思いますが、せっかくの役所の保留音ですから、札幌らしいものがよろしいのではないかと考えるものですから、さらにほかの部局にも広げていっていただきたいと思います。
2030年大会の招致に向けましては、何よりも市民の皆さんの盛り上がりが重要であります。「虹と雪のバラード」は、今もなお大変多くの市民に愛されております。まさに、1972年の
札幌オリンピックが生んだすばらしいレガシーであります。この曲を通して、当時を知る世代から知らない世代に
オリンピックの思い出やすばらしさが伝えられ、それにより若い世代の関心が高まって、そして、全ての世代の気持ちが一つになるような、そんな取り組みを進めていくことが招致実現につながっていくのではないかと考えます。
また、当時にはなかった
パラリンピック招致の意義を市民の皆様に改めて知っていただくためにも、さきに述べた
共生社会ホストタウンの取り組みをしっかりと継続して、2030年の
冬季オリンピック・
パラリンピック招致実現に向けて市民とともに一丸となって取り組んでいただきますことを要望しまして、私の質問を終わります。
◆平岡大介 委員 私からは、札幌市の今後の
スポーツ行政の考え方について、大きく3点質問させていただきます。
本市では、
スポーツ基本法の理念に基づき、市民が、年齢や性別、障がいの有無等を問わず、それぞれの関心、適性等に応じてスポーツに参画する環境を整備することなどを目的に、2013年から2022年までの期間で札幌市
スポーツ推進計画を策定いたしました。この
スポーツ推進計画は今後見直しを行うということでありますが、スポーツを取り巻く社会情勢や市民の意識も変化していることから、今後の
スポーツ行政における重要な視点について質問します。
1点目は、
スポーツ基本法の理念とする権利についてです。
スポーツ基本法では、スポーツは世界共通の人類の文化であり、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であることが明記されています。また、ユネスコの体育・
スポーツ国際憲章、
国際オリンピック委員会の
オリンピック憲章、ヨーロッパ・
スポーツ憲章などで、スポーツを行うこと、スポーツに参加することは権利であることが規定されているように、今後の本市の
スポーツ行政においても、国際的基準に沿った権利を明確に示し、理念を大切にした取り組みが求められていると考えますがいかがか、伺います。
◎山田
スポーツ部長 スポーツに参加する権利や理念を大切にした取り組みについてのご質問だと思います。
委員がご指摘のとおり、札幌市といたしましても、
スポーツ推進計画などにおきまして、する、見る、支えるといったスポーツへの参画を通じて幸福で豊かな生活を営むことは、障がいの有無や年齢、国籍を問わず、全ての人々にとって大切な権利であるものと認識しております。したがいまして、これまでも、札幌市
スポーツ推進計画におきましては、
スポーツ基本法などの理念に基づきまして
スポーツ施策に取り組んできておりまして、今後も、市民の誰もがスポーツの価値を享受することができ、スポーツの力で人生を楽しく元気に健康で生き生きとしたものにすることができるよう、
スポーツ参画人口の拡大やスポーツを通じた共生社会の実現に向けて努めてまいりたいと考えております。
◆平岡大介 委員 世界都市さっぽろと言われておりますので、ぜひ、海外での動き、それから、海外でどういうふうに権利を明記しているのかについても参考にしていただきたいと思います。
日本では、勝つためのスポーツ、メダルをとるための競技としてのスポーツ、これを中心に才能のある子どもを早期に発掘して英才教育を施す、このようなやり方、考え方であり、私は、スポーツをする人としない人の二極化を生み出すと同時に選手の心と体を壊す事態にもつながっていると思います。
スポーツ実施率が91%にもなっている
フィンランドでは、1912年の
ストックホルム五輪で金メダルを12個獲得したことを皮切りに、
トップスポーツ強化を推進してきました。しかし、選手の自殺が一向に減らないといった状況があり、政府は国民一人一人の健康づくりを目指した
スポーツ政策への転換を図りました。その結果、国民同士が楽しめるスポーツ、例えば、夫が奥さんをおんぶって走る
ワイフキャリー選手権大会や雪合戦、サウナ大会、
泥サッカー選手権などのスポーツが大変盛んになっております。
スポーツ競技などで相手に勝つことを絶対的な目標とする勝利至上主義ではなく、市民が気軽に参画できるスポーツを推進する、そのための権利というのも明確に示していただきたいと求めます。
次に、透明性と公平性を保障する
スポーツ行政について伺います。
早速、質問に入りますが、今後、本市の
スポーツ行政において
冬季オリパラの招致が大きなものとなります。開催に向けて市民の理解と協力を得るには、あらゆる段階で市民が納得のいく財源の透明性と公平性の確保を表明すべきと思いますがいかがか、加えて、世界都市、
平和都市宣言の本市にふさわしく、平和の文化であるスポーツを通じた平等と信頼関係を基軸に、世界の人々との相互理解と交流を促進することを表明すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎佐藤
招致推進部長 ただいまの、
オリパラ招致開催に向けての財源の透明性、公平性、それから、世界の人々との相互理解、交流に関するご質問に対してお答えしたいと思います。
これまでも、
オリンピック・
パラリンピックの開催経費につきましては、かかる経費は極力広い範囲で計上し、収入についてもきめ細かく試算し、広く市民に公表してきたところであり、今後も財政面についての透明性を確保してまいります。加えて、フェアプレーの精神や公平性の理念を含むオリンピズムの精神を普及啓発しながら、招致に対する市民の理解と協力を得ていきたいと考えております。
また、
オリンピック・
パラリンピックは平和の祭典と言われており、現在進めている
開催概要計画においても、国籍、年齢、性別、文化の違い、障がいの有無にかかわらず、全ての人が、
オリンピック精神である世界平和を感じ、発信できる環境づくりを目指すことを招致の意義として明確に位置づけているところです。
◆平岡大介 委員 この間を振り返りますと、例えば、ドーピングの問題や中学や高校の部活動における行き過ぎた指導や暴力、体罰、また、指導員による選手へのパワハラ、国際的なスポーツの場における差別の問題など、スポーツマンシップにはおよそ似つかわしくない話題が多くなっており、非常に残念に感じています。このようなスポーツを取り巻く諸課題の原因として、スポーツ界には閉鎖的な側面があり、ガバナンスが機能していないことが考えられます。改めて、今後の
スポーツ行政における透明性と公平性の確保に努めていただきたいと求めます。
また、
オリンピックについても、今後も財政面の透明性を確保していくということでしたが、費用について心配する声も多く、財政規模については適切に市民に情報提供し、その意見を聞いていくことが大事だと思います。
最後の質問になりますが、財源の確保について伺います。
市民がスポーツに参加するための環境整備として、
スポーツ施設の維持管理、新設、更新は欠かせませんが、市民や団体が必要な整備を求めていても、要望どおりにその予算措置が行われないという事態もあります。市民の活動と交流拠点となる
スポーツ施設を整備していく上で、今後の
スポーツ行政における予算の裏づけを明確にすべきと考えますがいかがか、伺います。
◎山田
スポーツ部長 スポーツ施設を整備していくための予算確保についてのご質問でございました。
今後、1972年の
冬季オリンピック開催前後に整備いたしました
スポーツ施設の老朽化に伴いまして修繕等の経費の急増が見込まれますことから、計画的な施設の更新や長寿命化などに取り組む必要があると認識しております。
このため、札幌市では、施設維持から機能重視へという考え方のもと、将来に向けて持続可能な
スポーツ施設のあり方について検討を進めているところでございます。
なお、今後の
スポーツ施設の更新及び整備に向けた財源の確保に当たりましては、PPPやPFIを初めとした民間資本の活用を検討するとともに、特に
冬季オリンピック・
パラリンピック招致に伴う競技施設の改修におきましては、例えばtoto助成、宝くじ収入、さらには
交付税措置等のある有利な地方債等の活用など、さまざまな形で財源確保に努力することででき得る限り市民負担の軽減を図ってまいりたい、このように考えております。
◆平岡大介 委員 公共の
スポーツ施設というのは、この間、どんどん減ってきております。
公共の
スポーツ施設の総数は、1996年から2008年、これが最新の数字ですが、12年間で1万1,796カ所減っておりまして、年間平均で実に約1,000カ所も消えております。これは、この間、国の地方切り捨てによって
スポーツ行政も予算が大幅に縮小され、既存施設の老朽化が進んでいても補修や改築費用が確保できないといった問題があります。安全性の観点からも、閉鎖せざるを得ないといった施設もございます。また、学校統廃合によって体育館がなくなっていっております。これにより、日ごろスポーツをするため、放課後に利用していた一般市民の方が非常に不利益を受けるという問題もあります。それから、今後、市民がスポーツに参加できる環境を保障するためには財政措置が必要です。先ほど部長は民間の活用と答弁されましたが、やはり、公的な施設で行政がきちんとそこを守っていく、保障していくという整備が必要だというふうに求めて、質問を終わります。
◆よこやま峰子 委員 私は、北区新琴似の運動広場用地についてお尋ねいたします。
この土地は、札幌市の埋め立て処理場として長年にわたり使用され、その後、複数回の譲渡を経て平成15年度に土地開発公社が取得した後、土地開発公社の解散に伴って札幌市が管理することになり、最終的にスポーツ局の所管になったという非常に複雑な経緯がある土地であります。
その後、敷地内で土壌汚染があることが確認され、地下水のモニタリングを継続するとともに、専門家による委員会を開催するなどして、アクションプラン2015において市民運動広場として整備する方針が平成27年度に公表されました。このアクションプランでは、平成32年度、すなわち2020年度の供用開始予定とされており、その実現を目指して整備を行うという計画でありました。このような説明を受けた地域住民は、その完成を大いに期待しておりました。
ところが、平成29年度に行われた詳細な地盤調査や検討の結果、想定を上回る軟弱な土地であることなど大きな課題が判明しました。そのため、やむなく、一旦、事業を中止せざるを得なくなったとの説明があり、運動広場の供用開始を心待ちにしていた住民は非常に落胆しているところであります。
このような状況を受け、私は、ちょうど1年前の3月6日の
予算特別委員会で、なぜ、アクションプランに記載され、計画が具体化するまで、このような土地の沈下の詳細がわからなかったのかとただし、改めて今後の整備方針について質問いたしました。この質問に対して、札幌市からは、今後は専門家を交えた検討を行いたいとのご答弁がありました。我が会派では、この土地については、一度は供用開始まで予定していた事業であり、地域住民の関心が高く、私もたびたびパークゴルフ場はどうなったのでしょうかと質問されることも多いため、昨年の
予算特別委員会や代表質問等において再検討の必要性や検討経過、今後の整備方針等について再三質問してきたところであります。
今回、平成31年度予算案において、この事業に5,800万円が計上されております。また、3回に及んだ専門家委員会も終了したとのことであり、そこで一定の結論が下され、ある程度の方向性が定まったものと思いますので、改めて質問させていただきます。
今年度行われた専門家委員会における結論並びにそれを受けて札幌市として今後この事業に対する取り組みをどのようになさっていくのか、お伺いいたします。
◎山田
スポーツ部長 新琴似市民運動広場に関する専門家委員会の結論と札幌市の取り組み姿勢についてのご質問かと思います。
今年度実施いたしました専門家委員会では、1点目として、想定を上回る軟弱地盤にいかに対応すべきか、2点目として、盛り土などの整備などにより地下水へどのような影響を及ぼすのか、3点目として、それらを考慮したより安全で経済的な整備手法はどうあるべきかといった主に三つの視点についてご議論いただいたところでございます。その結果、1点目の軟弱地盤への対応につきましては、専門的な見地から対策を講じてもある程度の地盤沈下は避けられないことから、整備する施設は地盤の凹凸があっても利用に支障の少ないものとするべきだというご提言をいただきました。2点目の地下水への影響についてでございますが、盛り土などの整備による影響は限定的だと思われることから、最初から敷地全体への大規模な対策が必要とは考えにくいという提言をいただいています。加えて、3点目の安全で経済的な整備手法についてでございますが、地下水等の状況を綿密に観測しながら必要に応じて対策を施すなど、慎重を期して段階的に事業を進めることで、より費用を抑えて整備できる可能性があることなどについてご提言をいただきました。
札幌市といたしましては、専門家委員会でのご議論を踏まえまして、現時点では、安全・安心を第一に、一方で、地元住民の皆さんのご期待の声があることからも、できる限り早い供用開始に向けて引き続き事業を進めていきたいと考えております。
◆よこやま峰子 委員 今のご答弁によりますと、委員会の結論は、地下の状況を事前に見通すことはなかなか難しい、そのため段階的に進めるべきだとの提言があったとのことであります。確かに、地元からは要望の声が強い事業とはいえ、安全・安心の確保は言うまでもなく、周辺に悪影響がないように進める必要があることは納得いたしました。今回、計上されている事業費も、そうした専門家委員会の考えや札幌市の認識を反映したものであろうと思います。
そこで、質問ですが、計上された予算5,800万円により、この事業は、来年度、具体的にどのような取り組みを実施されるのか、お伺いいたします。
◎山田
スポーツ部長 来年度の具体的な取り組みについてでございますが、来年度の予算案に計上させていただきました事業費については、段階的な整備により事業を進めていくための第一段階として、より安全を期すため、委員会の提言に基づきまして試験的な盛り土を実施することとしております。具体的には、敷地の中央付近で実際に幅30メートル、奥行き30メートル、高さ2メートル程度の盛り土をいたしまして、地盤がどの程度沈下するのか、また、それにより地下水がどのように変化するのかといったことなどにつきまして、年末の降雪期まで観測しながらその影響を分析することとしております。そこで得られる結果につきましては、次年度以降の整備に向けた詳細な設計につなげるなど、速やかに事業を進めてまいりたいと考えております。
◆よこやま峰子 委員 検討の状況や来年度の事業内容については、ただいまのご答弁によってもある程度把握できましたが、地元では、やはり、事業の進展について、パークゴルフ場の整備への強い思いと同時に、しっかりと安全性を確保してほしいという両方の声があります。この先どういう方向に行くにしても、毎年のモニタリングは継続していかなければいけなくて、そうしますと、今までかかった費用とこれからかかる費用というのも本当に莫大なものがあると思います。そういうことを考えますと、現時点で運動広場について具体的にどのような整備内容を想定して検討を進めていかれるのか、今後どのようなスケジュールを想定して事業を進めていかれるのか、札幌市のこの事業への取り組み、お考えを伺いたいと思います。
◎山田
スポーツ部長 新琴似市民運動広場の整備内容とスケジュールの想定についてでございますが、当初の計画では、パークゴルフ場、ラグビー場、それから多目的広場といったものの整備を検討しておりました。専門家委員会の結論からは、地盤沈下の影響が少ない整備内容が適切だと考えておりまして、具体的な整備内容といたしましては、地元住民の皆さんからの要望の多い簡易なパークゴルフ場の整備を目指したいと考えております。また、事業スケジュールといたしましては、地盤等に与える影響を見きわめながら段階的に整備を進めていく必要がありますが、次期中期計画期間内での供用開始を目指してできる限り早期に進めてまいりたいと考えております。
◆よこやま峰子 委員 最初に述べましたように、この土地は、札幌市のスポーツ局の所管になるまでにさまざまな変遷を経て、本当に大変複雑な土地だと思います。そして、今までにも取得費とか検査費、調査費、これからも地下水のモニタリングなど、いろいろお金がかかる非常に悩ましい土地であると私は思います。しかし、もちろん4ヘクタールにも及ぶ広大な土地をこのまま放置しておくわけにはいきません。先ほど申し上げたように、地域住民からは、高齢の方も多いので一刻も早くパークゴルフ場にしてほしいという声があります。その一方で、さきの地震とか地盤の変動による地下水の汚染があっては困るという声もあって、本当に二つの思いが錯綜している土地でもあります。実現してほしいと思うと、では、安全性はどうするのか、安全性を追求していくとしたら、いつになったらこの土地が生かされるのか、そうした非常に矛盾した思いに駆られております。そういう中ではありますが、私は昨年も申し上げましたけれども、やはり、スポーツ局だけにとどまらず、全庁的に環境局やまちづくり政策局などさまざまな局が一体となって、一刻も早い土地の有効活用、市民が安心して本当に望んでいる形に実現されるように心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
◆松原淳二 委員 私からは、障がい者スポーツの振興についてお伺いいたします。
今月13日から本市で2年ぶり2回目の開催となる2019ワールドパラノルディックスキーワールドカップ札幌大会が開催されます。昨年、
平昌パラリンピックが開催されたばかりということもあって、参加人数などが懸念されていたところですが、現時点で15カ国、選手、スタッフ総勢140名の参加予定となっていて、前回大会の15カ国133名を上回る見通しと聞いております。また、平昌で活躍したクロスカントリースキーの新田佳浩選手も参加すると聞いています。
2017年に開催した前回の大会は、直前に開催した冬季アジア競技大会と連動させ、札幌市が招致を目指す
冬季オリンピック・
パラリンピックのモデル的な大会と位置づけ、積極的にPRを行った結果、成功裏に終わったと思っております。私も、現地で観戦したり、チ・カ・ホの表彰式などにも参加させていただきました。選手が所属する企業、団体、町内会や学生たち、多くの市民が応援に駆けつけるなど大いに盛り上がったと感じております。また、さまざまな面での相乗効果も感じられ、すばらしい大会であったと実感しております。
こうした障がい者スポーツの国際大会は、障がい者スポーツの市民理解を促進していくためにも、一度開催したら終わりということではなく、継続的に開催していくことが大切であり、再び、札幌でこの大会が開催されることは大変喜ばしいと感じています。また、本市の大会運営能力や盛り上がりも評価されたと推察しております。
前回はIPCノルディックスキーワールドカップ、そして、今回はワールドパラノルディックスキーワールドカップということで、パラが前面に出てきた大会名称になっていて、障がい者スポーツの大会ということが少しわかりやすくなったという感じはしますが、市民全体の関心といった点ではさらなる継続的な取り組みが必要と感じております。特に、障がいのある方にとって、障がい者スポーツが身近な存在と感じていただける環境づくりが一層重要となります。障がいのある方にスポーツへの興味や関心を持っていただけるよう、なるべく早い時期にスポーツを知り、スポーツに出会う場を積極的に創出していく必要があります。世界各国からトップレベルのパラアスリートが参加する今回のような国際大会は、またとない絶好の機会であり、有効に活用すべきと考えます。
また、もう一つのワールドカップとして、国際知的障害者スポーツ連盟が開催するサッカー世界選手権大会が、2002日韓サッカーワールドカップから、同じ年、同じ開催国で行われるようになり、
オリンピック・
パラリンピックと同じような国際大会と障がい者スポーツの大会を連動させるといった動きも広がりを見せているところであります。
そこで、1点目の質問ですが、今回の2019ワールドパラノルディックスキーワールドカップにおいて、障がい者スポーツを普及促進していくためにどのような取り組みを行うのか、お伺いいたします。
◎佐藤
招致推進部長 ただいまの2019ワールドパラノルディックスキーワールドカップ札幌大会における障がい者スポーツの普及促進のための取り組みについてのご質問にお答えしたいと思います。
今大会では、障がいのある子どもたちが、スポーツのおもしろさや自分の可能性に気づき、スポーツを始めるきっかけを得られるよう、そうした子どもたちに、大会観戦や競技体験の機会のほか、選手と直接触れ合える機会を提供したいと考えております。そこで、大会前に、選手、コーチが試合当日の観戦ツアーを予定している高等支援学校や視覚支援学校を訪ね、みずからの競技との出会いやスポーツのすばらしさなどを子どもたちに語りかけるといった交流会を行っているところです。さらに、大会期間中には、競技場でパラアスリートと一緒に楽しみながらクロスカントリースキーができるファンランを行い、障がいのある子どもたちにも参加していただく予定となっており、こうした取り組みにより、障がいのある子どもが一人でも多くスポーツに興味や関心を持っていただけるよう努めてまいりたいと考えております。
なお、今大会は、地元競技団体の協力のもと、直前に同じ西岡会場で開催される第90回宮様スキー大会国際競技会と連動してコースづくりなどの準備を進めているところです。
◆松原淳二 委員 私が一昨年にお邪魔したときには、障がいのある方の観戦が少し不足しているかな、実際に見て感じてもらう機会が少し足りないと思っていたところでしたので、高等支援学校、視覚支援学校で行う交流会、また、ファンランで子どもたちが直接触れ合ったり体感できる競技大会にしていくことで、障がいのある方がさらにスポーツに興味や関心を持ち、さまざまな競技を体験できる場を創出していくことは重要だと思います。ぜひ、積極的に行っていただきたいと思います。
また、前回の2017年大会では、冬季アジア大会との連動で、盛り上がりの連続性のみならず、施設を継続して利用することで経費の抑制にもつながったと評価しております。今回、宮様スキー大会との連動ということもあります。また、先ほどあったように、国際大会と障がい者スポーツの連動がこれからの障がい者スポーツをさらに普及啓発させていくと思っております。決して大きな大会ばかりではなくて結構だと思います。実際にプロのトップアスリートが使ったピッチに立つ、そして、その場所で経験するというのは非常に有意義な場になると思いますので、さらなる普及啓発のために積極的な招致にも取り組んでいただきたいと思っております。
さて、本市では、障がいのある方が専用の競技用具を利用してスポーツをしたいと思ったときに、できる環境が少ない、なかったということで、2017年9月から、障がい者スポーツ専用として南区のみなみの杜高等支援学校の体育館を開放し、競技用具も確保してきました。しかしながら、この学校開放では、あらかじめ団体登録をしなければならないなど、既にスポーツに取り組んでいる方には使いやすいものの、障がいのある方が初めてスポーツをしたいと思ったときに気軽に利用できる環境にはなっていないと感じております。私は、これまで、機会を捉え、単に学校開放で終わるのではなく、さまざまな人に利用していただけるように取り組むとともに、障がいのある方がスポーツを体験するに当たっては、指導やサポートをする人材の存在も不可欠であり、指導者の配置も求めてきたところでございます。
そこで、二つ目の質問ですが、みなみの杜高等支援学校において障がいのある方が気軽にスポーツを行うため、今後どのように取り組むつもりか、お伺いいたします。
◎山田
スポーツ部長 みなみの杜高等支援学校における今後の取り組みについてでございます。
障がい者スポーツ専用の学校開放は、2017年4月に開設したみなみの杜高等支援学校の体育館を活用して、障がい者スポーツ普及の課題であります活動場所の不足を補い、障がいのある方が競技スポーツに親しめる環境をつくることを目的に開始したところでございます。これまで、その利用に当たりましては、一般の学校開放と同様に地域や職域などのサークルを対象としておりまして、団体を登録した上で予約する必要があることから、委員のお話のように個人単位での利用には対応できていない状況となっております。
そこで、障がい者スポーツの裾野の拡大を図るためにも、みなみの杜高等支援学校の学校開放の枠を活用しまして、子どもを初めとする初心者でも気軽に競技スポーツを楽しめる障がい者スポーツクラブを来年度に立ち上げたいと考えているところでございます。具体的には、まずは、これまでに実施した障がい者スポーツ体験会の参加者などへ呼びかけてクラブメンバーを募集し、種目に応じた指導者のもと、週に1回程度、定期的に車椅子バスケットボールや車椅子テニスなどのさまざまな競技を行うことができるようにしたいと考えているところでございます。
なお、運営に当たりましては、
パラリンピアンや障がい者スポーツ関係者にもご協力いただくとともに、シットスキーなどのウインタースポーツなどにも取り組めるような体制としてまいります。また、より本格的に競技スポーツに取り組みたい方には、既存の団体との橋渡しを行うなど、ソフトとハードの両面からサポートできる環境を整えてまいりたいと考えております。
◆松原淳二 委員 今後、障がい者スポーツの裾野を広げるに当たっては、学校開放を積極的に活用していただきたいと思います。また、既存の団体やサークルが活性化するということは、その競技レベルであったり競技人口をふやすことになるのは言うまでもございません。先ほどのご答弁にあったように、学校開放の枠の中で初心者に向けても取り組みを行うことについては、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
既存の団体が使いやすくするのは当然のことだと思いますが、その上で、障がいのある子どもにとっては学校の部活動や少年団のようなものがないことから、既存の団体で大人にまじって活動しなければならない、初めて参加するためのハードルとしては決して低くない課題もあると聞いております。今ご答弁があったスポーツクラブについては、気軽に参加できる少年団のような受け皿として機能することを期待しておりますし、ぜひそうなることを求めて、質問を終わりたいと思います。
◆こんどう和雄 委員 私からは、札幌ドームの活性化につきまして、3点の質問と、要望をさせていただきたいと思います。
なお、10月のメーン期間を象徴的な取り組みとしておりますが、No Maps自体は、年間を通じてテクノロジーやアイデアで未来の社会を切り開く人たちが集う場ということで、随時、カンファレンスなどの連携事業を開催しております。昨年は、メーン期間以外でも62件の連携事業の実績を上げており、新しい取り組みイコールNo Mapsというプラットホームが定着し始めたものと考えております。
◆かんの太一 委員 多くのビジネス交流につながったこと、カンファレンスについては、多くの参加があり、関心の高さを感じることができたということでした。
ビジネスチャンスの拡大において最も重要なことは、やはり、人と人とのつながりであります。No Mapsにおいては、カンファレンスによる新しい発想や提言がきっかけとなり、交流事業での意見交換によって人と人とのつながりが生み出される点を特に期待しており、札幌市の産業振興として意味のある取り組みと感じております。
また、新しい取り組みイコールNo Mapsというプラットホームの定着という答弁もありました。官主導のイメージが根づく札幌、北海道の地にあって、No Mapsは、民間が先導役となり、新たな挑戦の象徴として多くの企業や団体の連携を促す役割を担っています。No Mapsのカンファレンスの中でも、ITなどの先端技術を活用して社会課題を解決し、急成長を目指す創業、いわゆるスタートアップ企業のプレゼンテーションが行われておりましたが、技術、アイデアを有する新たな企業とさまざまな企業が連携し、支え、ビジネスチャンスを広げていく、そして支援を受けたスタートアップ企業が育ち支える側になっていくといった循環を生み出すこともNo Mapsの役割として期待できるのではないかと考えております。
このように、AI、IoT、スタートアップ等々、未来に向けた産業振興に必要なキーワードを多分に含み、新たなビジョンと人と人とのつながりを生み出す事業は、行政にとっても新たな挑戦の象徴であり、経済活性化に向けて有用な取り組みであると改めて認識するものであります。現アクションプランでは、No Mapsに対する予算措置は平成31年度までを予定しておりますが、民間主導の取り組みを活用して企業連携の好循環が生まれるべく着実な取り組みを重ねていけるように、平成32年度以降も支援していくことが望ましいと考えております。
そこで、質問ですが、No Mapsの平成31年度の取り組みの展望と、平成32年度以降における札幌市としての支援をどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎知野 国際経済戦略室長 平成31年度の展望と平成32年度以降の支援についてお答えいたします。
平成31年度の展望でございますが、引き続き、カンファレンスと交流事業を中心に据えて、多くの企業連携を生み出す場の創造を支援してまいります。今年度、地場の企業からは、No Mapsに合わせて道外企業が視察に来てくれたことで新たなビジネスにつながったという声や、No Mapsがあったから新しいチャレンジをしようという気持ちになり、実際に仮想現実技術の新会社を設立したとの直接の感想をいただいたりもしました。このような事例を積み重ねられるよう、平成31年度も引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
平成32年度以降の支援についてでございますが、これまでの立ち上げ期では、民間主導ではありましたけれども、札幌市もNo Maps実行委員会の一員としてしっかりと手を組みながら形をつくり上げてきたところでございます。本市のIT・クリエーティブ産業の振興を象徴する事業となってきているものと考えております。新ビジネスの創造に向けた場づくりは、産業振興のために必要不可欠であることから、新しい取り組みイコールNo Mapsというプラットホームの定着を目指し、今後も協力体制を維持しながら必要な支援をしてまいりたいと考えております。
◆かんの太一 委員 今までの答弁の中で、No Mapsによって生み出された新ビジネスの例を挙げていただきましたが、ぜひ、今後ともそういった事例を積み重ねていただきたいですし、カンファレンスでは国内外のさまざまなテーマと参加者が組み込まれておりますので、札幌、北海道の企業が、全国、広くは世界の企業と融合できる場になるまで成長させていっていただきたいと思います。
No Mapsは、単なる産業振興策だけにおさまらず、札幌、北海道の地域そのものを盛り上げ、飛躍させる可能性を秘めていると思います。札幌市として積極的な支援を引き続き行っていただくことを要望いたしまして、私の質問を終了いたします。
◆前川隆史 委員 私からは、2点、プレミアムつき商品券事業について、そして健康・医療関連産業の集積につきまして、順次、お伺いいたしたいと思います。
初めに、プレミアムつき商品券事業についてお伺いします。
プレミアムつき商品券事業は、本年10月1日に予定されている消費税率の引き上げが低所得者及び子育て世帯の消費に与える影響を緩和するために実施するものでございます。内閣官房のプレミアム付商品券施策推進室の資料などによりますと、4年前の商品券事業とは異なりまして、購入できる市民は一定の所得要件を満たす者や子育て世帯などに限定され、対象となる市民は購入の申請が必要となります。この事業は、多くの市民が商品券を購入し、使用することが事業の効果を高めることになりますので、購入する権利がありながら、手続の方法や商品券そのものの存在を知らないまま、せっかくの機会を逃してしまう市民が多くなってしまいますと、事業の効果が100%出ないといったことになってしまいます。
そこで、最初の質問でございますが、商品券を購入できる市民が限定される中、どのような方法により事業内容を周知していくおつもりか、お考えをお伺いいたします。
◎田中 産業振興部長 プレミアムつき商品券事業の事業内容の周知についてお答えいたします。
事業の周知に当たりましては、まずは、国において新聞やテレビなどを通じた広報を実施する予定でございます。本市では、広報誌によるお知らせに加え、対象となる方に制度のご案内を直接郵送するなどして周知の徹底を図ることを検討しております。また、専用のコールセンターを開設し、対象者や申請方法といった事業の内容が市民に浸透するよう丁寧に説明してまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 対象者には郵送やコールセンターの設置などを通じて周知していきたいということでございました。
今回の商品券事業は、消費喚起に加えまして、落ち込みが予想される消費を下支えする目的もあるとされております。本事業は、消費税率の引き上げによってふだんの買い物を我慢することのないよう措置する目的があることから、市民の利便性を確保するためにも市内の店舗を広く対象とする必要があると思います。
そこで、質問でございますが、商品券の利用可能店舗について、どのような店舗を対象として、どのように募集を行っていくのか、お伺いいたします。
◎田中 産業振興部長 商品券の利用可能店舗についてお答えいたします。
ご指摘のとおり、本事業において市民の利便性確保は重要な課題であると認識しております。商品券が利用できる店舗につきましては、ふだんの買い物でも使えるよう、地域の商店街はもちろん、スーパーを初めとした大型店も加えるなど、市内の幅広い店舗を対象とすることを検討しております。また、店舗の募集に当たりましては、商工会議所や商店街振興組合連合会などの経済団体と連携し、多くの事業者に参画していただけるよう努力してまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 市民にとって利便性の高い商品券となりますよう、引き続き事業の詳細を検討していただきますことを要望いたします。
次に、健康・医療関連産業の集積についてお伺いいたします。
私は、健康・医療関連産業の集積に取り組む必要性につきまして、これまで、代表質問や委員会等で何度も訴えさせていただきました。その背景には、強い危機感と思いがございます。全国20の政令指定都市の中で札幌は4番目に人口が多い大都市でございますが、財政力指数、つまり稼ぐ力は残念ながら最低水準でございます。製造業や大規模な企業が少ないといった事情もございまして、法人税、固定資産税などの税収を生み出していく力が弱いためでございます。稼ぐ力が弱いことは札幌の最大の課題でございまして、私は、日ごろから大きな危機感と課題認識を持っているところでございます。
しかし、足元をよく見てみますと、札幌には、ほかの都市に負けない、今後大きな成長を期待できる分野がございます。その一つが、世界が注目する先端医療技術でございます。例えば、北海道大学のがんゲノム医療、バイオバンクや、札幌医科大学の再生医療はもちろん、民間の医療機関も含めて市内では数々のすばらしい取り組みが行われているところでございます。
このような医療や研究は、医薬品産業、医療機器産業、IT産業、ロボット産業、技術開発を支えるベンチャー企業など、多様な産業との深いかかわりがございます。札幌が持つ医療の強みや市民の健康や生命を守るという本来の目的に加え、健康・医療関連産業の集積につなげていくことによって、札幌の新たな基幹産業を創出して稼ぐ産業へと成長させられる力を持っていると私は確信しております。その実現に向けましては、札幌市も、さまざまな切り口から積極果敢に新しい取り組みにどんどん挑戦していく姿勢が重要です。
こうした中、今回の予算案に盛り込まれました新たな取り組みとしまして、さっぽろ連携中枢都市圏において、健康医療、IT、経営に関する学生を結びつけ、創業意欲を醸成する起業家育成プログラムがございます。健康・医療関連産業の集積を進めるに当たっては、札幌経済の成長を牽引する企業をふやすために、大きく成長する可能性のあるベンチャーの創出が不可欠でございます。私は、常々、札幌を人材が活躍する舞台にしていきたい、若い優秀な人材が大いに力を発揮できるまちにしていきたいと考えておりますので、起業家育成プログラムには非常に期待を寄せているところでございます。
そこでまず、質問でございますが、札幌市は、健康・医療分野の学生起業家育成プログラムをどのような狙いで実施していくのか、お伺いいたします。
◎知野 国際経済戦略室長 健康・医療分野の学生起業家育成プログラムを実施する狙いについてお答えいたします。
健康・医療分野では、人工知能などのIT技術を用いたサービスでベンチャーを創業する若者がふえてきており、国内外で注目が高まっております。こうしたベンチャーでは、健康・医療の専門知識のみならず、IT技術や経営の知見も求められますことから、1人で創業するのではなく、例えば医師とエンジニアが共同で創業する事例も見られております。
一方、さっぽろ連携中枢都市圏では、当別町の北海道医療大学、江別市の北海道情報大学、小樽市の小樽商科大学など、健康医療、IT、経営に関連する大学が多く存在しているものの、健康・医療ベンチャーを創業する若者は非常に少ない状況でございます。今後、そうした若者を札幌圏でふやしていけるよう、このプログラムを通じて三つの異なる分野の学生が相乗効果を生む場をつくり、若者が果敢に創業する機運を盛り上げてまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 地元で健康・医療ベンチャーを創業する若者がふえていくことは、理系人材、とりわけ学生や若者の道外流出という課題を克服するためにも大変有意義なのではないかと思います。さっぽろ連携中枢都市圏に集積する大学を生かして、将来への種をまき、機運を盛り上げていく、これは行政の大事な役割の一つでございまして、ぜひとも情熱を持って取り組んでいただきたいと思います。
こういう中で、まずは一人でも多くの学生にプログラムへ参加してもらうことが最初で最重要のミッションでございますが、現実的には、明確に創業するぞと考えている学生は多くはないかもしれません。関心はあるが、きっかけがない、何をやりたいか漠然としている、あるいは、困っている人や社会の課題を解決したいけれども、方法がわからないといった学生が相当数いるはずでございます。このプログラムを受講してすぐに創業とはならないでしょうが、今、例に挙げたようなもやもやしている学生に参加してもらって、健康・医療ベンチャーの創業に向けて背中を大きく後押しできれば大成功なのではないかと思います。
ただ、問題は、そうした秘めた思いを持つ学生にどのように知ってもらうか、参加してもらうかということでございます。さらには、集まった学生の漠然とした思いが明確になるようにしていくためには、企業や医療現場を知ってもらうなどプログラム内容の企画・運営を工夫していくことも必要かと思います。
そこで、質問でございますが、健康・医療分野の学生起業家育成プログラムに参加する学生を集めるための周知、そして、プログラム内容の企画・運営についてどのような工夫を行っていくおつもりか、お伺いいたします。
◎知野 国際経済戦略室長 健康・医療分野の学生起業家育成プログラムにおける周知や企画・運営の工夫についてお答えいたします。
まず、学生への周知につきましては、各大学に趣旨を説明して具体的な協力を得ていくとともに、募集に当たっては、学生向けの現地説明会を開催するなど、一人でも多くの学生に情報が届くよう工夫いたします。
次に、企画・運営につきましては、学生が段階的に知見を獲得できるよう、講義を中心とする基礎編と現場へのインタビューやワークショップを行う実践編に分け、プログラムを構築する予定でございます。実践編に向けては、インタビューにご協力していただける企業、医療機関、福祉施設などをサポーターとして募集したいと考えております。さらには、さっぽろ連携中枢都市圏の自治体と協力するほか、さまざまな企業が持つネットワークや発想も活用し、効果的な周知と企画・運営ができるよう工夫してまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 医療機関や福祉施設を学生のサポーターとして募集していくというユニークな取り組みもご紹介されました。健康・医療関連産業の集積に向けましては、これまで行っている札幌商工会議所、北海道大学、札幌医科大学などとの連携を一層深めることはもちろん、連携の輪をさらに広げながら、絶えず新しい視点を取り入れていくことが必要でございます。さっぽろ連携中枢都市圏の大学や医療機関、福祉施設と連携して実施する今回の取り組みが、輪を広げる大きなきっかけになるよう期待しているところでございます。
札幌市がこのような新たな取り組みに挑戦し続け、粘り強く展開していけば、時間はかかるかもしれませんが、輪が広がって産業の集積は必ず実現できると考えております。しかしながら、取り組みを検討する際に、日本国内の事例だけを参考にしているようでは、大きな飛躍は難しいのではないかと常々思っております。海外では、アメリカのピッツバーグやボストン、サンディエゴなどのように、大学や医療機関と企業との連携が非常に活発で、健康・医療分野のベンチャーが活躍しやすい環境のもと、産業が集積して新たな基幹産業に育て上げ、稼げるまちへと成長した先進都市がございます。私は、こうした海外の先進都市から生の情報を収集して、見聞と視野を大きく広げて、人脈もつくり、施策に反映させていくことが重要であるとこれまでも主張してまいりました。
札幌が世界都市としての魅力と活力を創造し続ける街であるためには、国内の先進都市をただ追いかけるのではなく、アメリカを初めとする海外の先進都市から学ぶ必要がある、特に医療産業のようなグローバル業界では必要であると強く思っております。札幌市自身が新しい試みに大胆かつ果敢に挑戦する姿勢を持つことが極めて重要であります。
そこで、最後の質問でございますが、今後の施策構築のために、健康・医療関連産業の海外先進都市を視察するなど現地の取り組みや情報を収集する必要があると思いますけれども、どのようにお考えか、お伺いいたします。
◎知野 国際経済戦略室長 今後の施策構築に向けた海外先進都市の情報収集についてお答えいたします。
札幌市では、医療分野の市内企業が欧米の展示商談会に参加できるよう支援しておりまして、職員も、現地でのサポートなどを目的に、適宜、随行し、海外の先進都市の状況を肌で感じているところでございます。しかしながら、展示商談会が業務の中心で、都市の取り組みについて生の情報を収集する機会は限られていることから、改めて海外先進都市の取り組みの情報を収集し、しっかりと学ぶことは大変有意義であるというふうに捉えております。
一方、健康・医療関連産業の集積に取り組むに当たりましては、地域のさまざまな機関と方向性や足並みをそろえながら進めていくことが必要でございます。このため、札幌市だけではなく、関係機関と共同で先進事例の情報を収集することが重要となりますので、委員のご指摘を踏まえつつ、札幌商工会議所や大学と協議してまいりたいと考えております。
◆前川隆史 委員 ぜひとも、関係機関と速やかに協議を重ね、力を合わせてしっかり連携し、また、海外にも速やかに足を運んで現地の苦労話もよく聞きながら、新しい産業創出への力につなげていただくことを要望しまして、質問を終わります。
○佐々木みつこ 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時5分
再 開 午後3時24分
――――――――――――――
○丸山秀樹 副委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆小形香織 委員 私は、産業振興ビジョン、中小企業の支援にかかわって質問したいと思います。
昨年12月の第4回定例会の我が党の代表質問で、産業振興ビジョンについて質問いたしました。市長からは、本市経済の好循環を生み出すために必要な要素について、雇用の場の確保、創出及び企業、従業者の収入増加であると答えておられます。中小企業というのは、中小企業憲章にも社会の主役として地域社会と住民生活に貢献すると定められております。また、本市の企業の9割が中小企業でありまして、本市の経済発展というのはまさに中小零細企業の発展が鍵であると考えております。
2016年の経済センサスを見ますと、市内企業の売上高は、21兆1,623億円で、目標に対して4兆円上回る結果となっている一方で、民間の従業者数は、2016年は83万8,911人と2014年よりも約2万人減っているということでした。売上高が伸びていて従業員数が減っているという現象を見ますと、中小企業及びその就業者の方々に本当に好循環の影響が及んでいるのかという疑問が残ります。
そこでまず、市内の中小企業の現状をどのように認識されているのか、伺いたいと思います。
◎田中 産業振興部長 市内の中小企業の現状認識についてお答えいたします。
平成26年と28年の経済センサスを比較すると、従業者が50人未満の事業所で働く従業者は、数そのものは減少しておりますが、従業者全体に占める割合は逆に増加しており、市民雇用者報酬もここ数年上昇傾向にありますことから、中小企業においても少なからず好循環の影響が及んでいるものと認識しております。
◆小形香織 委員 もう一つ、質問を追加します。
あわせて、市内企業就業者の収入増を実現するためには、どのような支援策を展開されるのか、伺いたいと思います。
◎田中 産業振興部長 ただいまお答えした少なからず影響が及んでいる好循環を、より大きなものにしていくためには、経営資源の不足や事業承継など中小企業が抱えるさまざまな課題について、その解決を後押しする支援策が必要と考えております。今後とも、中小企業の発展が札幌経済の発展の根幹であるという認識のもと、企業や業界団体の声を伺いながらタイムリーな支援策を実施してまいりたいと考えております。
◆小形香織 委員 50人未満の事業所で働く従業者は減っているけれども、従業者全体に占める割合は逆に増加しているということで、承継などが課題になっているということでありました。
先ほどの2016年の経済センサスで具体的に見ていきますと、中小企業の中でも、特に従業者数が1人から4人、つまり5人未満の事業所数は、2014年は4万1,617、それが2016年には3万8,861と、マイナス2,756になっております。そしてまた、それに比例するように、従業者数でも同じく5人未満のところがマイナス6,757人になっております。
このように5人未満の小規模企業が著しく減っているのが実態だろうと思いますが、どのようにお考えなのか、見解を伺いたいと思います。
◎田中 産業振興部長 小規模企業の減少の認識についてお答えいたします。
先ほどの答弁で、中小企業の課題は経営資源の不足や事業承継であると申し上げましたが、規模が小さくなればなるほどこの課題が顕著にあらわれると考えております。経営者の高齢化や設備投資への負担感から、廃業を選択している事業者が多いものと考えております。
小規模企業の減少に歯どめをかけるため、事業承継や設備投資への支援を継続していくとともに、札幌産業の競争力を高め、雇用の場を創出する起業の促進にも力を入れてまいりたいと考えております。
◆小形香織 委員 小規模事業者のところは、とりわけ高齢化していたり、それに伴って後継者がいないということで、倒産というより、むしろ廃業していくのが実態ということであります。これに加え、さらにことしの10月には消費税が10%に増税するということですから、小規模企業はさらに大きな打撃になるだろうと大変心配しております。そしてまた、こうした小さな企業がなくなるというのは、札幌らしい魅力が大きく失われていくのではないかという懸念を持っています。
5人未満の小規模企業というのは、多くが家族経営のような形の個人事業主であると思います。そういう仕事をなさる方は、地域に密着していて、地元のニーズに応えたサービスなど、札幌らしさを生かした店舗経営を展開することができていたというふうに思います。ですから、こうした小規模企業が繁栄することが、景気の好循環を生む大事な要素だと考えております。今、通りを歩いておりますと、全国展開のチェーン店とか多国籍企業やフランチャイズのコンビニなどが同じような形で並んでいて、全国どこを歩いても同じような感じで札幌らしさがなかなか見えづらいと感じておりますので、ぜひ、地元の小規模企業を育てる支援を強めていただきたいと思っております。
そして、雇用の点で、先ほど起業というご答弁をされましたが、やはり、新たな会社を生み出すのも経済、雇用の活性化のためには大事だと思います。起業ということでは、株式会社をつくって全国展開をするようなもの、初期投資をしてつくっていく起業もありますが、一方で、手の届くようなやり方で会社を起こしていくプチ起業もあると思います。例えば、60歳以上で起業する方の割合がふえていると聞いておりますし、女性向けの雑誌などを見ますと、子育て中の女性が手先の器用さを生かして小さな会社を起こしたり、インターネットを活用してネットビジネスを始めたり、そういうおうち起業とかプチ起業を始める方が注目されているという記事も見かけます。子育てしながら、あるいは家族を介護しながら、初期投資をかけずに事業を起こし、具体的なニーズのあるところで無理のない範囲で経営する、そういうやり方によって地に足のついた地道な企業としてふえていくのも、規模は小さいですが、札幌の経済の活力の一つになると思いますし、札幌らしいスタイルをつくれるのではないかと思います。
そこで、こうしたプチ起業と呼ばれるような小さな規模での起業も含めて、起業を始めやすい環境整備が必要だと思いますけれども、その点をどうお考えか、伺います。
◎田中 産業振興部長 札幌らしい小さな起業の支援についてお答えいたします。
札幌市産業振興センターのスタートアッププロジェクトルームの入居企業へ支援を行うほか、多様な生活スタイルに合った働き方を知ってもらうきっかけづくりとして、女性のためのコワーキングスペースであるリラコワの運営を行うなど、これまでもプチ起業を含めた幅広い支援を行ってきたところでございます。さらに、札幌市と札幌商工会議所が設置した総合相談窓口であるさっぽろ創業支援プラザが中心となって、金融機関などの支援機関とともに、起業前の段階から起業後のフォローアップまで、さまざまな起業ステージに合わせた一貫した起業支援を実施しております。
こうしたさまざまな起業ステージに合わせた支援を継続しながら、セミナーや講座などを通じて起業に係る機運醸成について今後とも一層進めてまいりたいと考えております。
◆小形香織 委員 ぜひ、そうした小さなところも視野に入れた起業支援も進めていただきたいと思います。
9割を占める中小企業の中でも、とりわけ小規模企業を支援していく、育てていくことが大事だと思います。そうしたことによって、ビジョンに掲げた雇用の場の確保や創出、そして企業、就業者の収入増加につながり、市内経済に好循環が生まれると思いますので、そういう形で積極的に支援していただきたいということを求めまして、質問を終わりたいと思います。
◆しのだ江里子 委員 私からは、災害時における民泊事業者の対応について伺います。
第70回さっぽろ雪まつりが閉会し、来場者数は273万7,000人と過去最多となりましたが、この中でも民泊の利用者数はかなりあったと思います。民泊の適正な運営を確保しつつ、観光客の多様な宿泊ニーズに対応することを目的として、昨年6月に住宅宿泊事業法が施行されています。この法の施行後、札幌市内においても多数の民泊の届け出がなされておりまして、本年1月31日現在の届け出件数は1,626件と、全国的にも大阪市に次いで2番目に多い状況で、そのうちの9割近い1,437件が家主不在型とのことです。また、民泊の利用者は、昨年の6月から11月までの半年間で約7万2,000人でありまして、そのうちの約8割の5万9,000人が外国人の利用であったということです。
このような中で、昨年の第3回定例会の代表質問において、私どもの会派から、民泊の現状認識について質疑をさせていただいたところ、懸念されていた生活環境の悪化という状況には至っていないとの答弁でありました。しかし、家主不在型の民泊は、ホテルや旅館とは異なり、フロントに従業員が常駐していないことから、トラブルが発生したときにしっかりと対応できるのか心配するところです。
昨年9月6日に発生しました北海道胆振東部地震において、札幌市では、急遽、観光客向け避難所を6カ所開設して、延べ2,800人以上の方たちを受け入れたと聞いております。市内の多くのホテルや旅館でも、延泊希望者に対して飲料や食料、寝具を無料で提供し、中には、ロビーを開放して炊き出しを行い、近隣のホテルを出て行き場のなかった観光客などにも振る舞ったところもあると伺っています。
本来、民泊ホストの住宅宿泊事業者は、外国人宿泊者に対して、外国語を用いて、届け出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること、そして、移動のための交通手段に関する情報を提供すること、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすることが必要とされています。
そこで、質問ですが、北海道胆振東部地震において、ホテルや旅館ではできる限り延泊希望者の対応をしていたと聞いておりますけれども、民泊事業者はどのような対応をされたのか、伺います。
◎森 観光・MICE推進部長 北海道胆振東部地震における民泊事業者の対応についてでございます。
昨年9月の震災発生後、間もなく、市内の主要な民泊管理業者に状況を確認したところ、管理業者と民泊利用者は電子メール等で頻繁に連絡をとり合っているため、これを利用し、延泊の希望や予約の取り消しなどおおむね支障なく対応できたということでございました。したがいまして、民泊事業者の対応につきましては大きな問題は生じていなかったものと認識しておりますけれども、今後とも、災害時に適切に対応できますよう、日ごろから私ども札幌市で定めている札幌市住宅宿泊事業指導監督実施要領に基づきまして指導・監督をしてまいりたいと考えているところでございます。
◆しのだ江里子 委員 今回の震災では、民泊の管理業者が利用者の方たちと電子メールなどで頻繁にやりとりでき、おおむね支障がなかったということで、本当に何よりなことだったと思います。
やはり、民泊の管理業者は、宿泊者と顔を合わせた対応ができているわけではなく、また、多数の物件を抱えていると思われることから、いつも的確な情報が民泊利用者に伝わるとは限りませんし、9月のときも停電の際に携帯電話がつながりづらかったということも多々あったと思います。そこで、観光客が札幌市内の民泊を安心して利用できるようにするためには、札幌市と民泊事業者が連携し、災害に関する情報が民泊利用者にタイムリーに伝わるような連絡体制をあらかじめ構築しておくことが重要ではないかと考えます。
札幌市では、ことしの1月15日に、市内のホテル、旅館が加盟する3団体と災害時における旅行者の受け入れ等に関する協定を締結し、旅行者の一時滞在施設の指定や公共交通機関などの情報提供などについて連携・協働できる体制を構築していくということでありました。私は、このような取り組みは、ホテルや旅館だけではなくて、民泊事業者も含めて検討すべきであると考えます。
そこで、質問ですが、災害時における民泊事業者との連携についてどのようにお考えなのか、伺います。
◎森 観光・MICE推進部長 災害時におけます民泊事業者との連携についてでございます。
昨年の震災対応を踏まえまして、災害時には旅行者の一時避難場所を確保するとともに、交通機関の運行状況など、旅行者にとりまして必要な情報を迅速かつ正確に届けることが重要であると認識しております。また、民泊の利用者への情報提供につきましては、管理業者のほか、予約等を仲介いたします住宅宿泊仲介業者と連携協力することも有効であると考えているところでございます。
今後につきましては、札幌市内ホテル連絡協議会などと災害時におけます情報ネットワーク体制の整備を進めていく中で、民泊の管理業者や仲介業者の方たちへの情報提供についてしっかりと協議してまいりたい、このように考えているところでございます。
◆しのだ江里子 委員 昨年の胆振東部地震では、停電はあったものの、ほとんどの地域では2日以内に回復しました。しかし、特に高層のマンションタイプの民泊では、エレベーターの復旧にも時間がかかり、宿泊利用者は不安なときを過ごしたのではないかと考えます。
観光庁は、昨年の9月28日、災害発生時等、非常時における外国人旅行者の安全・安心確保のための緊急対策案を公表しております。台風21号や北海道胆振東部地震の際、訪日客への情報提供が十分でなかったとの指摘を受けて発案されたこの中で、観光庁は、JNTO、日本政府観光局コールセンターについて、あらゆる手段を用いて周知しつつ、災害発生時などにおいて、24時間365日、英語、中国語、韓国語で相談を受け付ける体制を確立することを初めとし、関係省庁・機関と連携することでさまざまな場面で外国人旅行者が情報を入手しやすくするよう環境整備を図ることを求めています。
私は、住宅宿泊事業者、民泊ホストも、市内のホテルや旅館が加盟する3団体と市が締結した協定に参加し、しっかりと連携・協働すべきだと考えます。重ねて、民泊はネット環境さえあれば空室情報を検索することも可能になります。現在、年間180日泊で運営しておりまして、空室を災害時に提供することも可能なのではと考えるわけで、これに関してはぜひ検討していただきたいと思います。
今後の対応に関しては、札幌を訪れる観光客の宿泊選択の一つとして、ホテルや旅館とともにしっかり利用していただけるよう、民泊事業者の皆様にもより安全・安心で使いやすい環境整備を図っていただけるように、札幌市としてもしっかり指導していただくようお願いいたします。
◆好井七海 委員 私からは、観光客が夜の時間帯に夜景やショーなどを楽しむ観光、いわゆる夜間観光の推進と、映像産業の振興について、2点質問させていただきます。
まず、夜間観光の推進に関するこれまでの取り組みについてお伺いいたします。
我が国では、観光を成長戦略、地方創生の柱と位置づけるとともに、目標値として2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人、訪日外国人旅行消費額を15兆円という非常に高い目標を掲げ、国を挙げて観光を基幹産業へと成長させるべく観光先進国という新たな挑戦を進めているところであります。そして、これらの目標を達成するためには、モノ消費からコト消費に移行している現状を踏まえ、体験型観光についての消費を促していくことの必要性が指摘されており、これを受けて、観光庁では、「楽しい国日本」の実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議を設置し、新たな体験型コンテンツを観光資源として掘り起こす取り組みとして、夜間、いわゆるナイトタイムの有効活用を提言しているところであります。