熊本市議会 > 2012-08-31 >
平成24年第 3回議会運営委員会−08月31日-01号
平成24年第 3回定例会−08月31日-04号
平成24年第 3回定例会−08月31日-04号
平成24年第 3回議会運営委員会−08月31日-01号

  • "区民会議"(/)
ツイート シェア
  1. 熊本市議会 2012-08-31
    平成24年第 3回定例会−08月31日-04号


    取得元: 熊本市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-11-22
    平成24年第 3回定例会−08月31日-04号平成24年第 3回定例会   平成24年8月31日(金曜) ┌─────────────────────────────────────┐ │ 議 事 日 程 第4号                         │ │ 平成24年8月31日(金曜)午前10時開議               │ │ 第  1 質問                             │ └─────────────────────────────────────┘                              午前10時00分 開議 ○津田征士郎 議長  ただいまより本日の会議を開きます。       ─────────────────────────── ○津田征士郎 議長  日程第1「質問」を行います。  順次発言を許します。下川寛議員。          〔45番 下川寛議員 登壇 拍手〕 ◆下川寛 議員  おはようございます。くまもと未来の下川寛でございます。本日登壇の機会をいただきました先輩並びに同僚議員に心から感謝して質問を行いたいと思います。  私は質問のたびにテーマを設定しておりますが、本日の質問のテーマは「自治とローカルガバナンスの構築に向けて」ということで設定いたしております。非常に解釈の範囲が広い要望でございますが、私がここでテーマに設定した意味合いとしましては、自治というものは、自分や自分たちに関することをみずからの責任において処理するということでありまして、私たち地方自治体にとりましては、住民の抱える課題を解決するということになるのではないかと思っております。  また、ローカルガバナンスの方は、多くの解釈が今論議されておりますが、地方よりも広がりのある概念としての地域社会ということにおいて、地方自治体も地方政府ととらえる中で、政府を中心とした支配概念という縦の関係ではなくて、多くのアクターが積極的に公共性を担う主体として認めて、アクター間の相互の関係やネットワークをコーディネートするということで自治を図ろうとするものとこの場では定義いたしたいと考えております。  地方分権一括法が制定され、国と地方、また地方の自治体同士が対等の関係と考えられるという大きな統治構造の変化がありまして、本市も政令指定都市という大きな権限と責任を持つに至った現在、ニューパブリックマネジメントや新しい公共という概念なしには、住民の課題の解決はおぼつかないと考えております。  これまで私は質問におきましては、政策提言型に徹した質問ということで行ってまいりましたが、本日はそういう意味で少しやり方を変えまして、このテーマのもと、自治とローカルガバナンスを構築するための基礎となる財政問題や多くのアクターとの協働を含むネットワークの構築のための課題と考えるものをお尋ねしながら検証していきたいと思いますが、通告いたしましたとおり、本日は私から見て左側の方々は、答弁に立たれることは想定しにくくなっております。そういう意味では、こちらの方々はリラックスして、しかし内容はしっかりと聞いておいていただきたいと思います。その分、右側の方々は答弁が多くなると思いますので、特に市長には簡潔明瞭な答弁をお願いしておきたいと思います。  まず、自治やネットワーク構築のための根底的資源であります人的資源についてお尋ねを進めてまいります。
     政令指定都市である本市のような大規模自治体では、総合的なコミュニティ政策を進めるために、より住民に近い組織の下部に決定権限をおろして、組織をフラット化することが必要と言われておりますが、本市においては、その対応は一部で進められているようです。あとは、そこに入ります人的資源の問題であります。  さきに述べました現代の統治環境の変化によりまして、従来型の安定した環境に適合した手がたい仕事を想定した人材の登用配置ではなくて、不安定で予測可能性の低い現代に適合した人材の発掘育成に努めていく必要があるというふうに言われております。つまり企画力、政策立案能力を十分に備えたコーディネーター型の職員を育成し配置することが求められているのではないかと考えます。また、本市のような基礎自治体としては、生活現場の歴史や経緯に精通し、住民と熟議の上で合意を得る能力を持った職員の育成と配置も必要であると考えます。  こういう状況と時代の要請というものを考えたとき、本市では、職員のキャリアアップ制度を構築し、ジョブローテーションによるゼネラリストの養成と特定分野の異動によるエキスパートの要請を実施されておりますが、この効果を考えたときに不十分という感がぬぐえません。  時代の要請は、ゼネラリストたる行政職員ではなく、専門知と現場知、現場の知識・知恵というように、各分野のエキスパートがまだら状に絡み合って、結果的に組織力で総合的行政ができる自治体ということにあるのではないでしょうか。しかし、専門知を持つエキスパート養成においては、高度な専門知識と政策立案能力の取得について、現行の本市での制度では具体策に乏しいと言わざるを得ず、また現場知を持つ熟練職員の配置においては、ジョブローテーションが行われていることにより、適材適所より適所適材と言われるような人事配置の中で、この適所適材の配置が阻害されていると言わざるを得ません。  さらには、管理職の昇任試験が行われていることにより、情実などではなく、その個々の職員の仕事の能力により昇格させたいという職員が昇格できない。つまり組織運営管理上の阻害要因となっているという声が行政の現場から多く寄せられているところでございます。  そこで、例えば公共政策専門職を養成する大学院などと連携して、職員の専門知を養成するための支援制度を構築する必要があると考えます。このことは、本市にシンクタンクも設置されたように、大学や研究機関との協働において、そこに通学者職員がゲートキーパーとしての役割を果たし、何を知っているかということよりも、だれを知っているかということが重要なキーワードとなりつつある現代自治体の専門的知見の活用に寄与できるとともに、専門的研究をしながら、意欲のある人材が現場にはおります。そういう人材を確保するためのリクルート活動も行うことができるようになるわけです。  また、今、述べましたように、組織として人材を活用するため、管理職昇任試験を資格試験に改め、またジョブローテーションについては廃止するか、どうしてもそれを行わざるを得ないという場合は、現場知と専門知に配慮した将来的な人材活用の着地点を見据えたものに制度を変更する必要があると考えます。これら人材を資源と考えた本市の制度変更、また支援制度の構築について、市長の見解をお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  人的資源管理政策についてということで、職員の専門性の構築と活用につきまして何点かお尋ねがございましたので、お答えさせていただきたいと存じます。  まずは、先ほど議員が述べられました時代背景でありますとか、そしてそれに基づくこれから先の地方自治体の職員のあり方、例えばコーディネーター型の職員でございますとか、専門性の向上はもちろんでございますけれども、そのような必要性というものがますます高まってきているということについては大変共感を覚えたものでございます。  そういう中で職員の専門性を高めるためという意味では、これまでの現在の市の対応では不足という御指摘もございましたが、人材育成センターにおきましては、政策形成実践研修の開催、あるいは研修機関への派遣、自治大学や地方自治研究機構熊本大学政策創造研究教育センターに職員を長期派遣いたしますなど、職員の政策形成能力等の要請にも取り組んでいるところでございます。  ただいま、大学院での自己啓発やそのメリットにつきましても、広範囲にわたって御紹介があったところでございます。また、熊本市も過去におきましては、平成5年から平成13年まででありますけれども、大学研究生、聴講生の派遣研修というような形での実績もあるようでございますけれども、平成14年度から民間企業派遣へ移行したという状況もございますが、そのような過去の実績、あるいは現状のまた新たな時代における必要性等も踏まえまして、御提案のことにつきましては検討させていただきたいと考えております。  それから、2点目の昇任試験のお尋ねでございますけれども、昇任試験の経緯につきましては、皆様、議員も含めて御承知のとおりでございますけれども、昇任制度として導入したものでありますし、その昇任試験制度の中でも、例えば名簿登載方式という方法もございますけれども、それが先ほどおっしゃった資格試験とつながってくるものかというふうに思います。そうなりますと、また登用段階での選考も必要になってくるかと思いまして、現行、競争試験方式で行っているところでございます。  ただ、人事配置におきまして、先ほど御指摘もございましたけれども、業務に不可欠な職員の昇任が必要な場合も出てきておりますので、そのような場合におきましては、限定的ではございますけれども、選考による昇任も行っているところでございます。今後もいろいろな変化を踏まえまして、この試験制度におきましても必要に応じた見直しを行ってまいりたいと考えております。  また、人事異動等のことについてお尋ねがございました。確かにジョブローテーションという一つの基本的な考え方はございますけれども、その中でも一般職と、あるいは専門的な技術を要する職員とのローテーションの期間というものにつきましては、差を持たせているというところでもございます。  さらには、エキスパート育成という人事の新たな制度も用いることによりまして、より専門性の向上等にも努めているところであります。ただ、エキスパート育成につきましては、まだまだ分野も限られているということもございまして、この充実ということも方向性としては考えられるのではないかというふうに思っております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  ただいまの市長の答弁で、趣旨には共感をいただけたということでございます。ただ、市長がおっしゃる答弁の内容はわかるんですよ。支援策もある程度やっていただいている。そして、市長がおっしゃったように、民間企業への研修というのも大変大切なことだと思います。支援策については検討するということでございましたが、本当に今求められている政策立案能力の形成のためには、ただ政策をつくるだけではなくて、非常に広範囲な理論を学ぶ必要もあるのではないかと思いますので、しっかり検討して、早急に支援策を構築していただければというふうに思います。  また、昇任試験の件につきましては、一部では選考もあるということでございましたけれども、そういう意識が職員の中にあるのかどうか、原則論だけが走っているのではないかという気もいたしております。名簿登載方式のお話もありましたが、私も見ておりまして、試験そのものを受けない、受けたくないという職員もまだまだ目にいたします。その理由を尋ねてみますと、「仕事を一生懸命にやっているから、試験を受ける余裕はない」とか、「試験を受けるほどなら、このまま一生懸命に市民のために尽くすんだ」というような声も聞かれるわけなんです。そういう職員ほど、管理職から見ていて管理職にしたいと思う部分もあるのですが、今の体制では、試験を受けないことにはどうしても管理職になれないというような意識が広がっておることも確かではないかなというふうに思います。  ジョブローテーションも含めて、恐らく本庁の職員だけにでも無記名でアンケートをとったとき、過半数が否定的な意見になるのではないかなというような感もいたしておるわけです。ジョブローテーション自体も、私は否定いたしませんけれども、例えば着地点を見据えたという意味は、一般職員、役についていない職員の時代から幾つかの職場を経験しながら、この分野で行こうと思ったら、その分野で係長になる。一生その職場にいるわけではなくて、そこの職場のために必要な部署を幾つか経験して、例えば課長補佐になって、その職場に戻ってくる。そういうようなプロフェッショナルな、エキスパートな職員が必ずその課に1人ずついるということが、基礎自治体としては大切ではないかなという思いがあって、お尋ねいたしました。  私も職員の経験がありますが、今、市長の答弁を聞きながら、思い起こしておったんですけれども、私がいた職場は、毎日毎日残業しておったんです。土曜も日曜もなく、月に120時間ぐらい全係員が残業しておりましたけれども、ある日、みんなで残業しておると、5時ちょっと過ぎたぐらいから、ベテランの職員たちが役所の窓から外を見て、「きょうは用事がある」と何かすっと帰っていくんですね。後に残った者は、経験の少ない若い者だけで、「きょうは何か年寄りは早く帰りますね」というような話をしておったら、7時ぐらいになって、どかんと雨が降りまして、役所におる者はみんな水防に出てこいということで招集がかかりまして、その後、夕食にありついたのは朝の4時だったというような経験もあるんですけれども、次の日に「きのうはうまいぐあいに用事があったですね」と聞いたら、「なあ、あの雲は大雨が降る」と、経験なんですよ。  そういうことから考えると、先日の豪雨災害も、経験の中でみんなベテランの職員は知っていますので、そういう経験のある職員の配置が適正な部署にあったら、情報伝達のおくれとか、そういうこととは別に予防ができていたのではないかなという感もいたすわけです。そういう意味でも、しっかりとしたエキスパートが各課に必要な部署に必ず配置されているということから、ジョブローテーションのあり方というのは、ぜひ見直していただきたいと思いますし、またそういうベテランの現場知を、ナレッジマネジメントとしてみんなで共有していくシステムをきちんと構築していくことが必要ではないかと思いますので、よろしく御認識をお願いいたしたいと思います。  次に、財政政策について5点ほどお尋ねを用意いたしましたが、1点ずつお尋ねしてまいります。  現在、本市では市場公募債の発行を準備中と聞いておりますが、その制度設計はどうなっているか、まず関係局長に内容をお尋ねしたいと思います。  また、つい先般、総務省においては、第三セクターや地方公社の抜本改革に当たって、レベニュー債というものの活用を呼びかける方針を固められ、そのレベニュー債の発行に対する相談窓口を設置して、助言に力を入れていくこととされました。  このレベニュー債というものは、聞きなれない債権でございますが、米国では既にかなり普及しており、日本では茨城県の環境保全事業団の発行実績があるのみであります。この制度を若干御説明いたしますと、経営が悪化してしまって、解散や廃止に向かう事業には不向きなものですが、経営改革による事業存続が見込める場合には有効であると言われているものでございます。そういう意味で経営改革の事業存続という視点でとらえますと、公営企業における発行というものは適切かとも思いますが、残念ながら、現時点では公営企業における発行は認められておりません。  ただ、このレベニュー債というものは、従来の地方債と違いまして、民間投資家から資金を調達する手法でありますので、この債権を活用するメリットとしては、調達資金の元利償還財源が特定事業の収益に限られているということがあるために、投資家がレベニュー債の引き受けに当たり、事業の採算性があるかどうかという厳しいチェックの上で投資することになるわけです。そういう意味で採算性の薄い事業が抑制され、かつ発行する側の経営努力というものが期待されることにより、本市でも出資団体の経営改善などに対しては大変有効な手段であると思うわけです。  今お尋ねいたしました市場公募債やレベニュー債については、空前の低金利社会と言われる中で、公的資金を調達することに比べて、市中に眠る資金を活用しながら、金利を配当するという面で市中にも資金を還元することにもつながり、行政と住民相互に利益があるものでありますし、市中の活性化にも寄与できると感じるわけでございます。これらの活用について、市長の見解をお尋ねいたします。          〔岡昭二財政局長 登壇〕 ◎岡昭二 財政局長  私からは市場公募債の制度設計についてお答え申し上げます。  本市が今年度発行予定しています市場公募債でございますが、従来の民間金融機関からの借り入れに加え、資金調達手段の多様化を図るものでございまして、全国の機関投資家等から投資していただくことにより、中長期的な安定した資金の調達を行うものでございます。本市の本年度の発行概要について申し上げますと、発行時期は本年11月を予定いたしておりまして、発行額は100億円、償還方式は10年満期一括償還で、金融機関及び証券会社による引受シンジケート団方式での発行を予定しているところでございます。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、私の方からレベニュー債のお尋ねについてお答えさせていただきたいと存じます。  レベニュー債につきましては、先ほど議員の方から御紹介があったところでございますけれども、改めて少し説明を加えさせていただきますと、個々の事業から得られます収益のみを財源として、元利償還を行っておりますことから、事業目的別歳入債権とも言われておりまして、海外、特にアメリカにおきましては、電力事業やガス供給事業などで導入されているようでございます。そして、国内におきましては、先ほどこれも御紹介がございましたけれども、茨城県の環境保全事業団で唯一導入事例があるようでございます。  第三セクターなどにおきましては、税金の投入や自治体の損失補償によらない自立的な資金調達が行えるという点で有用性が認められます。先ほどメリットにつきましては、幾つか御紹介がございました。一方におきまして、例えば本市の公営企業につきましては、公営企業債による低利で安定した資金調達が現状可能であるということもございまして、レベニュー債での発行というものは考えておりません。  さらに、本市の第三セクター等におきましても、現段階におきましては発行が必要ではないかと考えられるような団体は見当たらない状況にございます。しかしながら、指定都市へ移行いたしました本市といたしましては、今後も資金調達手段の多様化によります安定した資金調達を行っていくということは必要でございます。先ほど局長の方から市場公募債の紹介もあったところでございますけれども、そのことも含めまして、多様化に向けましては、市場の動向など、引き続き情報収集に努めてまいりたいと現段階ではとらえております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  レベニュー債におきましては、若干の補足をいただきましてありがとうございます。私も詳細な資料を持っておりますけれども、時間を気にしますものですから、余り細かく説明いたしませんでした。ただ、現時点で適用するような団体がないということでございました。それはそれで結構なんです。ただ、公営企業は考えていないということですが、現時点で発行を認められていませんので、どっちみち使えないのですが、市長の御答弁のとおり、多様な資金調達の手段ということで、情報収集を図られるということでした。それで十分だと思うんです。適当なものがあれば、こういうものも含めて多様に検討していただく。そのための情報収集をしっかりとお願いしておきたいと思います。  次に、債権管理条例と私債権の管理に関してお尋ねいたします。  これまで私はさまざまな協議の機会などを通じまして、本市の債権の取り扱いについて、公共債権としての公平性の観点から、取るべきものはしっかりと取らねばならないが、回収に対する費用対効果の検討とともに、生活困窮や無財産のもの、また貸付金という名目であるものでも、その性格が給付金に近いものなどの私債権については速やかに放棄して、非効率的な事務を回避して、他の業務に職員が効率よく集中できるようにすることを目的として研究してまいりました。  本年3月の一般質問では、近年相次いで多くの自治体で債権の徴収の手法と債権の放棄基準を定めた債権管理条例というものが制定されていることを御紹介して、私債権の整理を規定して、事務の効率化を図った債権管理条例の制定を求めようとしましたが、時間が不足して、そのことをお話しすることができませんでした。  それで、今回質問いたすわけですけれども、時間が延びたことにより、さらに研究を進めてまいりましたが、その中で国におきましては、債権の発生から把握して、徴収漏れを絶無とするといった管理体制が不十分であったことや、債権にかかわる権利行使について明確な取り扱い基準が定められていないことで、徴収不能の困難をもたらす危険があるということから、債権の管理等に関する法律により、私債権のみなし消滅が規定されておりまして、私たち自治体の手続と比べて非常に簡素な手続が行われておることがわかりました。  これまで執行部の皆さんと個別に討議する中では、債権を完納した方との公平性の問題が検討すべき課題として挙げられて、対象とすべき債権や適正な管理方法を含めて検討するというようなお話があっておりましたけれども、今、御紹介したような法律の内容を見ますと、現在は国民と住民という種別をしたときに不平等な扱いとなっておるのではないかなという解釈ができるわけです。国と地方で私債権の管理を異ならせる合理的な理由というものは見当たらないと言えます。  そういうことを踏まえた上で考えますと、個別にこれまで討議してきた中で、公平性の観点を課題にする理由は薄いと言えると思いますし、私債権の中には、先ほど申し上げましたように、給付的な性格のものなどがありまして、決算なども見ますと、未収額が98%を超えているというようなものが散見されるわけでございます。こういう債権も、ただ一方的に放棄するということであれば、これまでの中で課題とされたように不公平を招くのでありましょうが、例えば消滅時効期間の満了、生活保護などの生活困窮者、また無財産となって実質的に返済資力の復活が見込めない方など、明確な理由を規定すれば整理できるのではないかと考えます。  このことは都市規模が増大する中で、より効率的に行政サービスを提供しなければならない本市にとって、国民と住民との不平等を解消しながら、効率的な事務を行うということに大きく寄与できると考えますし、また他の自治体でもそう考えられていることを証明するかのように、この9月の議会で堺市でも債権管理条例議案が新たに上程されているわけでございます。  こういった条例を本市でも策定して、明確で効率的な事務を行うことに対する見解を関係局長にお尋ねいたしたいと思います。          〔岡昭二財政局長 登壇〕 ◎岡昭二 財政局長  私債権の効率的管理に資します債権管理条例の制定についての質問にお答え申し上げます。  助成給付的な債権でございます各種貸付金につきまして、最近の景気の低迷や債務者である借受人の高齢化などによりまして、収入未済額が多額となっているところでございます。これらの債権回収に当たりましては、電話催告や自宅訪問などによる債権管理の強化、分割納付相談等に対応するなど、引き続き債務者全員に対する償還対策を継続しつつ、適切な債権管理に努めているところでございます。  その中で効率的な観点のみで債権を放棄することは、現在も分割納付などにより懸命に返済されていらっしゃる方や既に完納された方などとの公平性の確保の課題があると考えているところでございます。しかしながら、これらの債務者には、既に死亡されている方や生活困窮や無財産により返済が困難な方がいることも事実でございます。  このような中で、市税等の公債権は不納欠損処分がされますが、貸付金等の私債権は個別に議決がなければ処分できないといった事情もございまして、このような事情も踏まえながら、より効率的な債権管理のあり方について研究していきたいと考えております。  その中で債権管理条例の制定についての御提案でございますが、東京都などの先行例を見ますと、債権管理の適正化と円滑な運用を図る目的で、債権管理の手続や債権の放棄についての基準を明確化した条例が制定されております。さらに、この動きは関東から関西地方における指定都市やそれ以外の市におきましても、条例制定の動きが進んでいるところでございまして、ただいま下川議員からも堺市の例等を御紹介いただいたところでございます。  この中で債権放棄の項目でございますが、債権の独自処理が可能となるため、地方自治法第96条第10号に基づく議会の議決を経る必要がなくなるため、議会に対しまして事後報告になるなど、議会や市民の皆様方の十分なコンセンサスを得ることが不可欠な部分も含んでいるところでございます。今後、より適正な債権管理を行い、債権回収に向けて、粘り強く努力していくとともに、ただいま御提案がありました債権管理条例につきまして、他都市の条例制定による収納率向上の効果、あるいは全庁的な債権管理を担う組織体制のあり方などを含めまして、研究してまいりたいと考えております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  研究というようなことでございます。研究は研究で結構なんですよ。ただ、いつまで研究されるか、何を課題として研究されるかということなんだろうと思うんです。確かに答弁でおっしゃるように、国と地方の違いというのは、地方は議会の議決によって放棄することが今認められております。ただ、その辺に私が言う効率的な事務ということの理由の一つ、もう一つは、先ほどおっしゃったような徴収対策を強化していると言われますけれども、徴収対策に対する事務の効率化という側面があるわけなんです。  先ほど若干御紹介いたしましたが、未納が98%を超えているようなものがたくさんある中で徴収を強化されて、どれだけ徴収ができているかということの費用対効果の問題は当然あるでしょうし、私が言っているのは、何がなんでも放棄せえと言っているのではありません。取れるところは、先ほど言いましたように、しっかり公平性の観点から徴収しなければならない。ただ、どうも答弁を聞いていると御理解いただいているようなんですけれども、生活保護の方とか、返済資力がどうしてもない方、その分をずっと未収の中に入れて、徴収の事務の中に入れておくかということなんです。  当然、先ほどおっしゃったように、議会にかけて議決すれば放棄できるわけですし、私たちも議会の立場としては、しっかりチェックすることが必要なので、議決を求めたいという気持ちも確かにあります。しかし、例えば議案で出てきたときに、どうしても返済する資力がない方から、それに対する債権を放棄したいというときに、それを否決することはあるのかなという気もいたしますし、例えば議会に条例の中で規定されて、係らないで放棄した、それが不適正に行われていれば、私たち議会としては、そういう面ではきちんとチェックしていく必要もあると思いますし、そういう行動をとっていくというふうに思います。  ただ、最近できております債権管理条例の傾向としましては、放棄だけを決めるのではなくて、徴収の手段も明確にされておるような傾向もありますので、しっかりと研究していただいて、債権管理に関しての方向性を出していただきたいと思いますが、ただ一つだけ、意地悪な指摘をしますと、今のように徴収の努力をやっていただく、大切なことなんですけれども、取れないものに対する徴収の努力をやっていかれるのならば、それに手間を要して、本来行うべき事務がおくれたときに、人員不足ということだけは理由にしていただきたくないなと思いますので、それだけは指摘させていただきたいと思います。  続いて、自治を確立するために不可欠な財源としての地方交付税について若干検証したいと思います。  地方交付税につきましては、御承知のとおり、地方自治体の固有財源であるとともに一般財源でありまして、さらに租税収入と歳出面での国と地方の財源不均衡を補完する財源配分機能を持つとともに、国と事務的に一体化した地方行政との格差を補うという意味で、世界に冠たる緻密な制度ということが言われておるわけでございます。この地方交付税なくしては、自治体の財政は成立しないと言っても過言ではありませんし、本市でも歳入の6分の1程度は地方交付税で賄われているわけです。  しかし、この地方交付税には課題というものも指摘されているわけでございます。その算出に当たりまして、地方の歳出実績ではなくて、シビルミニマムの思想により算出された標準的な姿である基準財政需要額というもの、また地方財政計画に示された歳出の内容及び地方自治体の前年度の標準的な税収入の一定割合から求められた基準財政収入額というもの、この両方をベースにしまして、地方自治の独自性のために、その財政総額の25%の留保財源を勘案して算出されたものであります。決して地方の実情に合わせたものではなく、また最終的に交付された明細が示されないことから、その適否を地方自治体が検証することができないということが言われているわけでございます。  この場で地方交付税を詳細に検証するのは非常に幅広くなりますので、時間の関係や、今言いましたように交付明細がないということから、大変困難であるわけです。ただ、自治体が独自事務を行うための大切な収入であるということと自治を推進するためという観点から、今申し上げました地方の独自事業のために確保されている留保財源について検証いたしたいと思います。  現代は地方分権や地方主権と言われながら、地方の独自性が問われる中にあるわけですが、そのために自由に使える財源がわずか25%しか保証されないということに対する不満が個人的にはあるわけです。  ただ、留保財源なくしては、先ほどから言いますように独自事業も実施できないわけでございますが、本市に交付されている地方交付税においては、この25%の留保財源は適正に確保されているのでしょうか。  また、留保財源の中で実質的に国からの実施を求められておって、本来私たちが自由に裁量で使途を決められるという側面が阻害されているような事業はないのでしょうか。  さらに、近年、法の定めに反して特例的に認められた臨時財政対策債や合併特例債については、その償還分を後年の地方交付税で手当てするとされておるわけですが、実際に交付された中に償還分が適正に交付されているのでしょうか。  以上の3点を関係局長にお尋ねいたします。  加えて、もう1点気になることがありますが、現在、特例国債の発行が国会で本日現在、最終的な可決がなされていない中で、本年の交付税が通常の時期に交付されるのかということが不透明な状況にあるわけです。しかし、けさ、政府が都道府県分は3分の1に圧縮して、市町村に対しては通常の時期に交付税を満額交付する方向で調整に入ったという報道がされておりました。市町村と都道府県という報道でございましたので、私もよくわからなかったのですが、本市は指定都市でありますが、どちらに属して、市町村のように満額を交付されるのでしょうか。  そして、報道を見ますと、これは調整に入ったということであるだけでして、決定されたわけではないようです。少なくともその報道では、9月分の交付はおくれるというようなことが言われておりましたが、仮に9月分、また通常の時期という11月分が通常どおり交付されなかった場合の本市財政への影響と、さらにちょっと違った話として、普通交付税と特別交付税があるわけなんですが、特別交付税が今後廃止されるというようなことが出てきておりますけれども、それによる影響及び予測される対策、地方交付税分とあわせてどうされるのか、市長にお尋ねしたいと思います。          〔岡昭二財政局長 登壇〕 ◎岡昭二 財政局長  まず、私の方からは地方交付税に関します3点の御質問にお答えさせていただきたいと存じます。  議員の御紹介にもございましたが、地方交付税につきましては、市税と並び本市の財源の根幹をなす非常に重要なものでございまして、そういった中でただいま御質問にございましたが、まず留保分の25%は適正に確保されているのかということでございますけれども、議員の御紹介にもございましたが、基準財政収入額におきまして、住民税や固定資産税、たばこ税などの市税、あるいは地方消費税交付金、自動車取得税交付金などの各種交付金、譲与税、こういったものが算定に算入されるわけでございます。その中で一部100%算入されるものもございますが、基本的には税収の75%が基準財政収入額に算入されることとなっておりまして、25%が議員の御紹介にございましたように留保財源ということになるわけでございます。先ほど議員の御指摘もございましたが、基準財政需要額の算入が今全体的にされている中で、基準財政収入額につきましては、ただいま申し上げたように25%は除くという形で私どもの方の算入がされておりまして、その25%につきましては、基準財政需要額では補足されない経費、あるいは独自の施策を行うために充てられる財源として確保されているというふうに理解いたしております。  次に、本市で借り入れを行いました合併推進債や臨時財政対策債などに要した経費につきまして、基準財政需要額に算入されていますが、実態はどうかとのお尋ねでございますが、平成23年度の合併推進債、臨時財政対策債の元利償還分につきましては、基準財政需要額に算入されているところでございます。  また、生活保護などを初め、本市で求められている事業につきまして、適切に基準財政需要額に算入されているかとのお尋ねでございますが、基準財政需要額の経費につきましては、例えば生活保護費、あるいは保健衛生費、消防費、道路橋りょう費など、23の費目と公債費などの個別算定経費、あるいは人口と面積の包括算定経費、こういった形で算入されているところでございまして、この算定に当たりましては、議員の御指摘もありましたが、生活保護費であれば例えば人口、高齢者福祉であれば例えば高齢者人口、こういったものを測定単位としまして、国が想定した単位費用、補正係数により算定されているものでございまして、議員の御指摘のように、基準財政需要額の算入というのは理論値でされているところでございます。  その結果、実際の市の歳出額よりも、個別で見ますと多く算入されるものもございますが、また少なく算入されるものもあるという現状でございます。そのすべてを細かく分析することは、なかなか困難な部分もございますが、全体的に見ますと、それは算入されているものというふうに理解しているところでございます。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、私の方から特例公債法案が可決されない場合の影響についてのお尋ねにお答えさせていただきたいと存じます。  先ほどお話もございましたが、きょうの朝刊にも交付税1.4兆円の先送りと公債法案見通せずというような見出しで大きく紹介されていたものでございます。財政法の規定に基づき発行いたします建設国債とは異なりまして、御承知のとおり、一時的に赤字を補てんするための赤字国債を発行いたしますためには、1年限りの特例公債法を毎年制定することが必要になります。  現在も特例公債法案の成立がおくれておりまして、平成24年度における当初予算の歳入90.3兆円のうち、42%に相当する赤字国債分38.3兆円の財源が確保できないといった状態にあります。このまま特例公債法案が成立しない場合、地方交付税の9月交付分につきまして、先ほどお話もございましたが、まずは道府県分から一時的な減額など、予算の執行が抑制されるとされております。そして、次回の11月分につきましては、市町村におきましても減額が想定されるところでございまして、このような執行抑制が行われますと、もちろん本市への資金収支にも重大な影響を及ぼすと言わざるを得ないというふうに思っております。  お尋ねがございました本市の具体的な数字につきましては、大変申しわけございませんが、今、持ち合わせておりません。  それから、もう1点でございますけれども、道府県か、あるいは市町村かということでございますが、まだ確定はされていないようでありますけれども、政令市といいましても市町村に入るということのようでありますので、11月分からの影響ということが考えられるということでございます。  今後、さらにこの法案の成立がおくれました場合、こうした本市も含めました地方自治体への影響ということにとどまることなく、国の財政運営、ひいては国民生活にも重大な支障を及ぼすということでもありますし、またこのような状況が続きますと、やはり世界の中における日本の信頼の低下にもつながるという、まさに異常事態と言わざるを得ないというふうに思っております。今いろいろ、政局で動き始めているようでありますけれども、通すべき法案は通すという中のこれは重大な一つだというふうに感じておりまして、早急な法律の制定を望むものでございます。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  別に私は国会の審議をどうこう言うつもりもありませんが、国の動向に合わせて、地方は地方でその状況に合わせて、しっかりと予測して対策をとらなければならないのではないかというところが大事なのではないかなと思います。  本市は市町村の部類に入るだろうということでございますので、一たんは乗り切れるかもしれませんが、その後交付税が満額支給されなかった場合、また時期がずれた場合、それに向けた対策をしっかりとり始めていただきたいというふうに思います。  また、交付税の部分につきましては、臨時財政対策債や合併特例債の部分はされているということ、また留保分についても、明確ではありませんけれども、答弁を聞いておりますと、されているのではないかということでございますので、その分は検証という意味からは安堵しておりますけれども、答弁の中で私が聞かなかったことまでエスパーのように答弁していただきまして、よく聞いておりますと表現が違っていただけで、実質的に留保財源の中で求められている事業ということが言われておりました。その辺は善意に聞いておりましたけれども、基準財政需要額の中に入っているというような表現でございましたので、それはそれで安心して、財源の問題は確保できているのではないかということで、次に進みたいと思います。  今の交付税のお話とも若干関係するんですけれども、一括交付金についても少し検証させていただきたいと思います。  本来、財政政策の大きな柱の一つに、補助金による事業の誘導ということがあるわけです。しかし、三位一体の改革以降、補助金はひもつきによる地方支配につながるという悪の発想というふうに言われておりますけれども、そういう意味で使途が羅列されながらも、地方の裁量で使途を決定できる一括交付金へとその姿を変えたわけです。この一括交付金化は、地方の自由裁量といういかにも有益なもののように語られておりますが、現実は、それまでと比較して総額が抑制され、地方の重要事業の停滞を招いているというふうに言われているわけでございます。  言われているというのが、その検証ができないからでありまして、三位一体の改革により、地方への財源移転は、補助金ではなく、税源移譲と交付税によるとされ、税源移譲は行われておりますが、その時点で交付税は従前に比べて5.3兆円ほど減額されて、さらに補助の交付金化により、総額抑制が段階的に包み隠されたのではないかなという想定がされているわけです。  しかし、これをどうこう言うのではなく、私たち地方自治体としては、現行の与えられた環境で事業を実施していくしかないわけでして、そこでこの一括交付金と従来の事業別補助金というものを比較したときに、本市の事業にはどのような影響が出ているのでしょうか。また、使途がメニュー化されていることによって、実質的な従来型のひもつき補助金となっていることはないでしょうか。  あわせて、建前上は自由度が増したということで、市長が常々発言されております選択と集中による事業選択がより重要度を増したことになるわけです。しかし、その選択と集中に対する結果を住民の課題解決という公共政策本来の姿でとらえたときに、住民の納得を得ながら、ローカルガバナンスを構築するという観点からしますと、どのように選択しているのかという優先順位などのルール化と公表が必要であると感じます。  事例を申し上げますと、例えば三重県などでは、10年以上前から優先順位による年次計画が策定、公開されておりまして、住民との納得の上で事業の選択がなされておりますが、本市にはこのような明確かつ公開されて、住民の納得も得られたルールが存在しているのでしょうか、これらのことを関係局長にお尋ねいたします。          〔岡昭二財政局長 登壇〕 ◎岡昭二 財政局長  一括交付金につきまして、数点の質問にお答え申し上げます。  まず、一括交付金でございますが、地域主権戦略大綱に基づき、国から地方へのいわゆるひもつき補助金を一部廃止し、地方の自由裁量を拡大、原則、地方が自由に使えるようにしたものでございまして、昨年度は都道府県、今年度からは指定都市に導入されたものでございます。  しかしながら、自由裁量を拡大したということでございますが、対象事業の範囲につきましては、限定された中での自由裁量というのが実情でございます。また、交付限度額の枠内での配分については一定の自由度は増しましたが、各省からは一たん内閣府に補助金を移管するものの、交付申請はもとの所管省庁に対して行う必要があるなど、手続面でも改善の余地があるものと考えているところでございます。  このような中で本市の本年度の一括交付金の状況でございますが、本市の一括交付金の限度額は約62.2億円でございまして、当初計上の歳入予算額85.9億円の約7割程度の配分となったところでございます。この交付限度額に基づきまして、当初予算で認められました事業の範囲内で道路整備、あるいは下水道整備関連などの社会資本整備に係る事業を中心に各事業の継続性や進捗状況、緊急度等を踏まえ、配分いたしたところでございます。  そんな中で特に今年度は、ただいま申し上げました社会資本整備関連の事業のほか、本市の独自性というような観点から、動物愛護センター愛護棟の増築、あるいは九州新幹線全線開業を踏まえまして、観光案内標識の集中的な設置、こういった事業にもこの財源を充当させていただいたところでございます。  また、一括交付金について、さらに事業の選択と集中といったことに心がけるべきではないか、またその中で優先順位のルール化といったこともあわせましてお尋ねでございますが、現在の厳しい財政環境のもと、本市におきましては、市税のほか自主財源の大きな伸びが期待できない中、行財政改革による民間活力の活用や既存事業の見直しを行うほか、選択と集中による予算配分の重点化など、限られた財源の有効活用を図ってきたところでございます。  一方、国におきましては、厳しい財政状況の中、近年、自治体の国庫補助事業を含めた投資的経費等については縮減が図られてきたところでございます。このような中でただいま申しました一括交付金が導入されたところでございまして、自治体の裁量による配分権限が拡大されたということでございますが、このことは限られた財源を有効に配分し、最大限の事業効果を発揮しなければならない責任についても自治体自身が負わなければならないものと認識いたしております。
     そういった中で、優先順位のルール化についての質問でございますが、現在、本市におきましては、例えば今後の道路整備に関し、政令指定都市移行に伴う国県道の移譲等も踏まえ、その必要性や事業効果を考慮し、道路整備プログラムの見直しを今行っているところでございます。また、例えば公営住宅の整備に関しましては、既存ストックの適正な維持管理、建てかえ、改善等について、長寿命化計画を策定しているところでございます。公共事業につきまして、このような整備プログラムや長寿命化計画等に基づきまして、改めて各事業の継続性、緊急度を踏まえた優先順位を明確にする取り組みを進めてまいりたいと考えております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  答弁を聞いておって、ようわからんなというのが正直な感想なんですけれども、よくよく聞いておっても、なかなか私も理解が届かん部分があるんですけれども、その中で手続上、まだ地方から見たら課題があるのではないかということなども挙げられておりました。そういうことはきちんと国の方にもお伝えしながら、いい方向に改善していかなければならないというふうに思います。従来型のひもつきの部分は明確にはお答えがありませんでしたけれども、本市の独自裁量で行った事業もあるということを御紹介いただいたので、一部では安堵しておるわけです。  ただ、ルール化の部分、さまざまなプログラムの御紹介がありましたけれども、それが先ほど御紹介した三重県のようにきちんと広く公開されて、説明されて、それに対する意見もいただいて、練り上げられたものかどうかという点については疑問があるわけでございます。恐らく役所の内部では知られていても、私たちも個別に優先順位のルールを、プログラムを知っているかというと、疑問もありますし、ましてや役所外の方になると、どれだけ知られているのだろうというようなことを感じるわけです。明確に公開して、意見を闘わせて、その上でさらに練り上げて作成した優先順位などのルール化をする必要があると強く思いますので、その対応をお願いしておきたいと思います。          〔議長退席、副議長着席〕  細々したことを再質問しながら進めたいのですが、ちょっと予定した時間からおくれぎみになっておりますので、先を急いでいきたいと思いますが、今お尋ねして検証しました交付税と一括交付金につきましては、本市の問題だけではなくて、恐らくほとんど全国の地方自治体の課題であるわけでございます。そして、最近の動向を見ますと、まだ明確なものが発表されておりませんけれども、社会保障と税の一体改革によって、社会保障分はすべて消費税で賄い、その消費税の増額の中で地方消費税分も増額されるということまでは発表されておりますけれども、それに伴って、地方への交付税や国庫支出金を減額するのではないかという情報もあるわけでございます。  市長には、市長会などを通じて、地方の不利益にならないような牽制活動を、国が発表される以前から行っていただきますように強くお願いしておきたいと思います。また、寺崎副市長には、本市にずっといていただきたい人材でございますけれども、やむを得ず霞が関に帰られるときには、こういう地方の実情を、肌で感じられた実情をしっかりとその中で生かしていただいて、財務省との闘いに勝たれて、地方の味方となっていただきますことを強くお願いしておきたいと思います。  この財政政策の最後に、喫緊の課題ではありませんが、将来を見据えた広域行政の課題に対する考え方をお尋ねしたいと思います。  地方自治体の規模と運営の効率性及び権限の行使には相関関係があることは間違いございません。そのため、国内では、昭和と平成の二度にわたって、大幅な合併が行われてまいりました。しかし、平成の大合併については、一方で、国の財政対策を中心としたある種の思惑により誘導された結果であるという指摘もなされているわけでございます。地方自治体が合併することによって、確かに行政上の規模が確保され、住民への公的サービスの提供や組織運営の効率性について、一定の効果が得られたことは確かであります。また、国においては、その効率性の結果として、自治体数が減じたことによって地方交付税が低減されたことも確かであるということから来る指摘であるかと思われます。  ただ、行政上の規模が確保されて、住民への公的サービスの提供や組織運営の効率性について一定の効果が得られたとはいえ、さきにお尋ねした財政上の課題などによりまして、行政サービスを提供するハードウエアの整備などについては、いまだ十分にできない自治体が多いことも事実であります。そこで、その解決策として、各地方自治体のコミュニティとしてのアイデンティティや独自性は保ちつつ、公共サービス提供の面において連携していく広域行政を行うことが、これからの課題として挙げられてまいります。  そのためには、現行法においても、一部事務組合や広域連合といった制度がありまして、施設の共同設置などが規定されているわけですけれども、例えばA町とB町が連携するときに、A町はごみの焼却場をつくって、B町は火葬場をつくって、利用実績に応じた利用料負担を行うなどの連携も考えられるのではないかと感じます。当然その運営を相互にチェックするために広域連合を設置してもいいのですが、運営のスリム化ということを考慮したら、住民意思に基づく協定などでの緩やかな連合も考えられるのではないでしょうか。  そういった利用料金や建設費のほか、本市のような拠点都市となる自治体の場合は、周辺自治体の住民による都市内公共サービス施設の利用負担の問題もあるわけです。建設や運営は拠点都市の自治体が負担して、サービスの受益を他の自治体住民が享受するということの解決のために、本来は建設費などの負担を周辺自治体にも求めていくことが必要である時代が来ると言われております。しかし、これは一方で、拠点都市に関しましては、ノブレスオブリージという論議もありまして、一朝一夕に解決することは難しいと思われます。ただ、各自治体の独立性と対等性ということを考えれば、いずれ避けて通れない課題となることも想定されているわけです。  このことについては、申しましたように喫緊の課題ではありませんが、拠点都市である本市の場合に、例えば市民病院の患者の過半数が近隣町の住民であるということにあらわされるとおり、自治が進展していくにつれ、想定しておくべき課題であると感じるわけです。思い起こせば、以前の星子市長は、早くからこの広域行政を課題と考えられて、本市の果たす拠点としての役割を示しながら、政策を検討しておられました。本市でも広域行政が議論の場に登場してきた場合に備えて、今のうちから基本的考え方を構築しておく必要があると考えますが、市長の見解をお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  広域行政についての考え方についてのお尋ねにお答えさせていただきたいと存じます。  現在、本市のさまざまな施設につきまして、市民の皆様方はもとより、市外在住の方々も多くの皆様方が利用していただいている実態がございます。このうち、例えば各種スポーツ施設、あるいは公園など、多くの施設は市民と市外在住の方で料金に差は設けていない状況にございます。差がある例といたしましては、例えば斎場の火葬料、市民病院の個室利用料等がございます。  今後、本市の施設につきまして、利用料や、あるいは建設に係る経費の費用負担についてでございますけれども、本市の施設は当然本市の市民の皆様を対象として設置し、管理を行っているものでございます。このことは他の自治体も同様でございまして、また一方におきましては、それぞれの住民が相互に利用する場合も多いと思われます。  そのようなことから、広く利用されている施設の設置に係る経費につきましては、市外在住の方々に負担を求めるということは、一般的には困難でございますが、ただし今後、地方財政が厳しさを増す中で、そして広域的な連携の必要性が高まります中で、これまでのいわゆる単独自治体のフルセット主義での施設整備が困難になることもあり得ますことから、広域的な行政のあり方といたしまして、周辺自治体と役割分担をするという考え方は大変重要になってくるものと考えております。  このため、あらかじめ市外の方々の利用も前提として、本市において施設の設置を行います場合には、建設に係る経費分につきまして、市外在住の方にも御負担をいただくという考え方もあり得るというふうに考えております。その場合には、例えば事務委託でありますとか、共同処理の手法などによりまして、あらかじめ周辺自治体の費用負担のあり方について協議して定めるものと認識いたしております。ただいま申し上げました事務委託につきましては、御承知のとおり、現在、消防におきまして、この事務委託方式を用いました広域連携を進めさせていただいているというものでございます。  いずれにいたしましても、指定都市移行によりまして、権限等が移譲され、都市圏、あるいは県における本市の役割というものは、ますます重要性が増しております。九州中央の拠点都市として位置づけを強化し、本市の発展のみならず、県、ひいては九州全体の発展にも貢献していくということがますます求められているというふうに感じておりますが、このような基本的な考え方に立ちました上で、今後新たに施設を設置いたします場合には、当該施設の設置目的や性質、あるいは都市圏、圏域における位置づけなどを踏まえながら、適正な負担のあり方というものを考えていきたいと思っております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  私もお尋ねの中で一例としての費用の問題というものを挙げましたが、費用を取れということをこの場で申し上げているのではなくて、今、市長の方から御答弁があった内容のとおり、一部消防などでは実施されておる。ただ、事務委託とか、そういう手法の御紹介もありましたけれども、もっと大きな問題として、この広域行政が今後自治が進展してきて、各自治体の対等性というものが出てきたときに、各分野で出てくる問題だと思います。  先ほど申し上げましたように、喫緊の課題ではなくて、私はここで問題提起をして、基本的な考えを今のうちからしっかりと構築していただきたいという思いでお尋ねいたしましたので、個別にどれがどう、どれがどうととらえるのではなくて、基本方針というものをしっかり確立して、周辺町とも熟議の上に、方向性を出して、やり方を決めておいていいのではないかと思いますので、そういう活動に取りかかられる時期だということを指摘して、その活動をお願いしておきたいと思います。  次に、ローカルガバナンスの構築に寄与する問題で4点お尋ねしたいと思います。  そう言えば、前後しましたが、質問の冒頭言い忘れておりましたけれども、特にここからは再登壇の可能性も十分考えられますので、私もそういう思いで進めたいと思いますが、前回の3月に引き続き、市長からもどんどん私に対する質問、また反論等ありましたら歓迎いたしますので、そういう意味で進めてまいりたいと思います。  まずは、この項に入るに当たって、住民の意思を自治の中に反映させ、市民性を持って課題の解決に取り組んでもらえるかということと、多くのアクターにエンパワーメントしながらネットワークを構築して、ガバナンスを確立するということを考えたときに、そういう組織体の構想に近いものは、今、見渡してみますと区民会議というものであったろうと思います。ただ、この区民会議については、制度設計のあいまいさもありまして、本議会で否決されておる状況です。  その制度設計のあいまいさということは、それを証明するように先日、熊大の学生さんによる本市政策のフィールドワークが行われまして、私はコメンテーターとして、その報告会に招かれたのですが、その報告会の中で、市職員の制度設計があやふやだと感じたということが挙げられておりました。私たち議会が感じたことが、同じく大学生にも見抜かれていたということであります。ただ、恐らく私たち議会も、制度的に納得の得られるものであれば、設置を拒む理由はないのでしょう。  そこで、現在、市長は区民会議を設置すべきという思いの中で、制度の再構築を図られていると思うのですが、まず本論に入るに当たって、前提として、この再構築される制度設計の状況及びポイントにつきまして、関係局長にお尋ねいたします。          〔高田晋企画振興局長 登壇〕 ◎高田晋 企画振興局長  区民会議が議会において否決された後、どのような進捗になっているのか、現在の状況ということについてお答え申し上げます。  まず、区のまちづくりに当たりましては、多くの区民の参画と協働が必要不可欠であるという観点から、熊本市市民参画と協働の推進条例の一部改正をいたしまして、「それぞれの区の区域における課題の解決に向けた合意の形成ができるよう、必要に応じ、協議の場を設けるものとする。」という規定を追加させていただいたところでございます。  現在、各区におきまして、区の将来像やまちづくりの方向性を示す振興ビジョンの策定に取り組んでいるところでございますけれども、振興ビジョンに基づいた具体的なまちづくりの内容につきましては、区のまちづくりに区民が参画できる協議の場において検討することにより、各区の特性を生かしたまちづくりを推進してまいりたいと考えております。  また、5つの区がそれぞれの個性や特性に応じたまちづくりを進め、多様性を発揮していくためには、協議の場の組織や、区内の各種団体の代表や公募による区民などとする委員構成などの運営手法につきましても、各区に独自性を持たせたいと考えているところでございます。  そこで、今年度の市政リレーシンポジウムのテーマを「区のまちづくり」といたしまして、計7回実施いたします。その中で協議の場の必要性やあり方につきまして、市民意識の醸成を図るとともに、さらなる議論を深めまして、各区での設置に向けて、今後、具体的な制度設計を行うような状況になっております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  本論で別のことを質問したくて、たまたま切り口ということでの今のお尋ねだったんですけれども、まだ具体的なものはできていなくて、これからのようですが、答弁の中で若干気になった点がございますので、申し上げておきたいと思いますが、「区のまちづくりに区民が参画する」という表現がありました。どういう考えで使われているのかということはちょっと不明なんですけれども、戦後日本の思想の第一人者と言われております松下圭一氏は、市民と住民、参加と参画ということを明確に区別されておりまして、社会科学でいう市民と住民の行動の違いと行政の有する専門性によりまして、住民は身近な課題の解決には参画するのであって、政策形成には参加するというふうにその中で論じられております。この参加と参画については、先般記録を見ておりましたら、自治推進委員会で荒木先生も違いを論じられておりますので、この制度設計の折には、参加と参画の表現にも留意していただくことを指摘しておきたいというふうに思います。  また、いまだ本当に確定的な制度設計はできていないようですけれども、各区の独自性で団体代表や公募委員などが参加される可能性があるようで、私はそれ自体を否定するものではありませんが、それに関して議論を深める時期であるように感じましたので、指摘しながらお尋ねを進めたいと思いますが、この区民会議の議案を否決いたしましたときに、制度設計も含め、議員各位の中にはさまざまな理由があったことと思います。私が個人的に最も重大と感じましたのは、参加委員の代表制の課題でありました。  この代表制の課題については、既に1980年代のイギリス、ブレア政権下でコミュニティニューディールとして、自治体と企業、住民組織とのセクター間にガバナンス空間というものを構築しまして、そこへの参加によって、政策過程における権力を共有し、影響力を行使する民主主義の第三の道と呼ばれる制度を運用する段階で問題になっておりました。その中では、市民の参加・参画の資格や、その能力に関する課題が論じられるとともに、投票などによらず選出された市民や団体代表が真に多様なコミュニティの意見を代表しているのかといったことから、民主的正当性の課題というものが指摘されております。  簡単に表現しますと、そこに参加した代表が本当に多様な意見を集約して参加しているのか、個人の意見のみが政策形成に関与していないか、また代表がいつも同じメンバーになっていないかということへの懸念でありまして、当然公選職との代表選出の正統性によってコンフリクトが生じるということから、そこで出された意見を公選職の意見と区別して、あくまで補完的な役割であるということを把握しておくことなどが課題であるというふうにされたわけでございます。  このことを先ほどから例にとっております区民会議というものの中に照らしてみますと、会議に参加した地域の代表の方が正当に地域の代表として認められているのか、地域の課題を集約した意見を述べるのか、または単に個人の意見を述べるのかということでありまして、公募委員などにおかれては、個人の意見を述べるのか、または属する団体などの代表として集約した意見を述べるのかということであるのではないかと思います。  そして、そこにはあいまいとも言える立場によって出された意見により作成された政策が導き出されて、この政策は最終的には市長が提案して、私ども議会で審議されるということになるわけですけれども、公選で選出される私ども議員にとりましては、有権者である住民の意見により作成されたものについては、たとえ異論があろうとも否定しにくい。このことは既に100年前にフランスの社会心理学者のギュスターヴ・ル・ボン氏によって明らかにされているわけでございます。それが公選職とのコンフリクトの要因であるわけです。  たまたま区民会議を例にとっておりますけれども、今、自治体が政策を形成する過程においては、住民の声を反映するということは大変重要なことであると認識いたすものでございます。しかし、その中で申し上げたような代表制の課題ということを念頭に置いておかなければ、一部の声で政策がゆがんでしまうこともあるということを認識しておかなければなりません。  そこで、本市の各種審議会、また将来の区民会議に住民を参加させることに異論はありませんけれども、公募の時点や参加当初の段階で個人の資格なのか、何らかの代表なのかということを明確にして、意見の取り扱いや発言の趣旨などを明確化した上での議論を行って、発言する側も、意見を受け取る側も、それをしっかりと認識した上で政策形成への活用を図らなければならないと考えますが、これに対する市長の見解をお伺いいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  代表制の課題の中で各種審議会等における委員発言のあり方についてのお尋ねにお答えさせていただきたいと存じます。  市が附属機関として設置します審議会等の委員につきましては、自治基本条例及び市民参画と協働の推進条例の中におきまして、専門的知識や経験を有する者のほか、市民参画の観点から、公募等により、市民の幅広い層からも委員として選任するよう努めることを規定しているところであります。  その目的でございますけれども、選任された委員の学識経験等の専門的な知識や所属する団体等で培われました経験などから、自由に発言していただき、それらの多様な意見等を執行機関としての意思決定の際の参考にしようとするものでございます。  したがいまして、その委員がいかなる団体に所属しておられたといたしましても、審議会等における発言というものは、あくまでも個人の識見に基づく意見として取り扱うことが基本であると考えております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  また市長の答弁の中で参画という表現がありましたが、今後はしっかりと参加と参画を区別していただくことをお願いいたしたいと思いますが、今、市長の御答弁にありましたとおり、いろいろな方が参加して、多様な意見を述べられることを何も否定しておりません。ただ、発言のあり方でなくて、私が言ったのは、発言のとり方、受け入れ方の方が重要ではないかなと思うわけです。ただ、市長が今、最後におっしゃったように、個人としての発言が基本ということでございました。それはそれで結構です。  だから、個人としての発言ということを双方で明確にした上で取りかかっていただくことが重要でしょうし、本市がその意見をもとに政策形成する場合には、個人の意見だということを明確に考えた上で、決してそれをあたかも代表の意見のようにとらないということを規定しておくことが大事だというふうに思います。  ただ、多様な意見を本当に集約するというときに、そこに参加された方だけで十分なのかというようなことはあると思うんです。そういうことの補完のために、いろいろなパブリックコメントであるとか、また新しくパブリックヒアリングとかも考えられるかもしれませんが、多様な意見を本当に集約していくときに、参加された方だけの意見では足りない、それが本当なのか、どれくらいの課題がその中に含まれるのか、どのくらいのニーズがあるのかということをしっかり認識して、その後の制度をつくられることが大切だと思いますので、御認識と発表をお願いしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、市民からいただいた声に対する判断結果の返し方ということについてお尋ねしたいと思います。  このことについては、去る3月の一般質問の折、私が提案しまして、この場で議論し続けている目的指定納税という政策の質問の続きであるわけです。3月の質問の折には、市長からの反問的発言もありまして、たしか3回ぐらいにわたって、この場で議論になったものの、結局この政策について、市長からは視点は重要であるが、法のもとの平等の観点で採用しないという答弁がございました。しかし、憲法に基づく平等論も、あくまで市長の個人の感覚によるものということを申し上げて、実現は政治決断次第という流れで一たん収束しておるというふうに考えております。  ただ、市長とのやりとの中で、私が申し上げたのは、提案した政策の真意の一つに、市長が市民から聞いた声をいかに判断して、結果として、どのような政策になった、どのような予算になったということを明確に数値化して、明らかにできることであるということを御紹介いたしまして、さらに私の基本的スタンスとして、自分が提案した政策よりも、目的を達成するためにもっといい政策ができてくれば本望だというようなお話をしておったと思います。  しかし、その3月の折は時間が不足しまして、それから先の議論を深めることができませんでしたので、もう少し議論を深めさせていただきたいと思うのですが、その深める方向としては、言うまでもなく、今申し上げたとおり、市長が聞かれた声の返し方の手法であるわけです。住民の声を聞いて、それをそのまま政策化する場合もあるでしょう。  しかし、政策過程において、専門的判断を加えて、また限られた条件の中で、非決定という決定を下すことがあるということは市長にも異論がないことではないかと考えますが、そのまま政策化する場合を除いては、声を発した住民の方になぜそうなったのかということを公開して、納得していただきながら進んでいくことが、ソーシャルキャピタルの蓄積にもつながって、ローカルガバナンスの構築のためには必要なことであるということは言うまでもないわけです。  こういう取り組みは、実は他都市では実施されておる場合がありまして、一部御紹介しますと、我孫子市では福嶋浩彦市長の在任中から、予算の編成に当たって、ヒアリングごとに3回にわたって、その査定状況を我孫子市民に公開して、採択されなかった予算についての状況を説明して、意見をいただきながら、非決定とした理由や優先順位について納得が得られるような努力をしていらっしゃいます。また、北川正恭知事在任中の三重県の予算編成過程とアウトカムを含む事務事業評価というものをセットにして公開されて、住民の意見を求められているわけです。これらの事例が予算編成を中心にしているのは、自治体にとって予算が政策のすべてという性格を持っているためで、住民の方々にも最もわかりやすいからであると思います。  そういう目で本市の状況を見てみますと、予算要求状況というものは公開されるようになっておりまして、一歩前進しているとも言えますが、私たち議員であっても、その査定の要求状況から来る査定の結果の明確な理由というものを知るためには、議会で質問しないとわからない、そういう不十分なものと言わざるを得ない状況にあるわけです。それを補完するために提案した政策が(仮称)目的指定納税であったわけでございますが、市長がこれを採用しないと明確に答弁された今、それはそれで結構ですので、それにかわって、もっと有効な声の返し方となる政策を実行しなければ、「声は聞きましたよ。しかし、それをどう考えたのかは自分の勝手でしょう、教えません。でも、声はどんどん出してください。」ということになって、信頼のもとでの協働が構築できるとは思えないわけです。こちらの提案を否定されたのでありますから、かねてから市民の声を大切にされる市長としては、よりよい政策を提案していただけるものと考えておりますが、市長の考えをお伺いしたいと思います。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  市民の声に対する判断結果の返し方についてのお尋ねにお答えさせていただきたいと思います。  まずは、よく申し上げることでありますが、民意を反映すると申し上げますけれども、どのようにその民意をとらえることができるのかということ、これは言葉では簡単でございますが、なかなか難しいというのが現実でございます。例えばアンケート調査を実施するということも、その一つでございますけれども、ただアンケートも回収率の問題もありますれば、あるいは年齢層等のバランスで確実にそれをもって民意ということはなかなか難しいということでございます。  それから、今回、2000人市民委員会という新たな制度もスタートさせていただいているところでありますが、ここは性別はもとより、年齢層でありますとか、あるいは地域バランス等も配慮した中での委員の方々を指名させていただいているものでございますが、ただこれも委員としてお引き受けいただきますまでには、1回、2回とお願いしなければ、なかなか到達しないというような状況もありますが、ただアンケート調査よりも、さらに踏み込んだ民意というものをとらえることができるのではないかということで、まだスタートしたばかりではございますけれども、これをもっと活用する方法ということを考えていかなければならないのではないかというふうに思っております。  個別につきましては、直接対話事業ということでございますとか、あるいは先日も開催されました事務事業外部評価制度というものも、その一つではなかろうかというふうに思いますが、さまざまな手段を用いながら、より民意を反映する市政というものに努めていかなければならないと思っております。  ただ、議員お尋ねは、その結果の返し方、それがこうこうこういう民意があり、その結果として、予算でありましたり、あるいは市の施策優先順位でありましたり、こういう結果でありましたという返し方、ここが大事だと、ここがなければ一方通行に終わってしまうという御指摘であったわけでございます。  そういう中で先ほど御紹介もいただきましたけれども、その一つの手段として、予算の要求状況一覧というものも公開させていただいているというものでございますけれども、ただこのことにつきましても、最終的な要求と結果ということでございまして、例えば我孫子市の例も挙げられましたけれども、それと比較いたしますと、時期でありますとか、回数でありますとか、まだまだ本市としても見直さなければならない部分はあるというふうに思っております。そういう点につきましても、十分に見直し、改善を加えながら、結果としての市民に対する説明というものをよりわかりやすい形でということに努めていきたいと思っております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  最初、答弁を聞いておって、そっちじゃないなと思っておりましたら、最後まとめていただいたわけでございます。一定の御理解のもとに議論はだんだん深まりつつあるかなというようなことを今、市長の答弁を聞いていて感じたわけなんですけれども、改善をされると、本市の制度は不十分だということは、答弁の中で認識されていたように感じます。御紹介した我孫子市の当時の福嶋市長というのは、生粋の市民派でありまして、市民の中でトラブルがあったら飛び込んでいくような市長でございました。そういう意味で、執行部側から見るとタブーであるような、ヒアリングごとに公開して、さらに意見をいただきながら、そこで説明を加えながらいくという手法をとられておったのだと思います。  先ほどから申し上げるように、私の提案した政策も、その真意をとらえる、もっといいものができてくれば構わないわけでございます。どうも今の答弁を聞いておりますと、またここで市長に再質問しても平行線になるような気もいたしますが、答弁の中に改善を図っていかなければならないということがあったように聞きましたので、ひとつ来年度の予算からも、そういうことを始めていただければと思います。ただ公開する、わかりやすいということだけではなくて、そこでどういうふうに感じられるか、どういうふうな御意見があるかということを、その段階で十分話すところまで踏み込まないと、信頼は得られませんし、協働ということにはつながらないと思います。来年度予算に間に合うといえば、ほとんど時間がありませんが、ひとつ早急にそういう手法を構築していただくことを強くお願いして、できない場合は、またさらにこの場での議論を深めていきたいなと思います。  ただ、今、市長の答弁の前段の中で、民意のとらえ方は難しいというようなお話がございました。確かにそのとおりです。ただ、先日、おもしろい文献を見つけまして、佐藤卓己氏という方があらわしておられるんですけれども、「輿論と世論」という文献がございます。戦後、日本の当用漢字を整理する中で輿論という漢字が非常に難しく、当用漢字に入ることができなかったことで、今使っている世論に統一して、輿論と世論という読み方を併記したというものがございましたが、輿論は、公的な道義のある意見ということで、戦前きちんと扱われておったことが検証してあるんです。  ただ、世論というのは、世の中の一般大衆の雰囲気だということで、明確に使い分けられていたんですけれども、今の輿論と世論が混同されていることは、今、市長がおっしゃった民意の中にも、もしかしたら世論である部分があるかもしれない、そういう部分に留意しながら、ぜひとも輿論の部分をきちんとした民意として把握していっていただきたいと思いますので、ちょっと質問からはそれましたけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、若干時間が押してきておりますが、通告の順番をちょっと変更いたしまして、監査制度についてお尋ねしたいと思います。  まず、質問本論に入るに当たりまして、本市の監査委員が監査される場合にどういう観点や着眼点を持って、また全国都市監査委員会準則などの一般かつ公的に定められた判断基準を持って監査を実施されているかということを、代表監査委員にお尋ねしたいと思います。          〔堀洋一代表監査委員 登壇〕 ◎堀洋一 代表監査委員  監査委員として監査いたしますときにどういう考え方で監査しているのかというお尋ねだろうというふうに思いますが、まず監査委員として公平、そして不偏の態度で、市の財政運営等々について、計数、その他法令に合致しておるか、そういうところをしっかり見ながら監査させていただいておるところでございます。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  全然回答にならんですね。観点、着眼点、どういう基準を持ってやっているかというお尋ねをしたのに、公正、不偏で法令に合致する、当たり前のことなんでしょうけれども、今、監査に求められております公正性、合規性、効率性、この観点というものは全国共通で求められているんですけれども、それに対するお答えすらないと。代表監査委員は本当に意識を持ってやっておられるかということをちょっと今疑問に感じざるを得なかったのですが、それを追求することが目的ではありませんので、指摘だけさせていただきたいと思います。  本日お尋ねしたい監査委員の制度につきましては、本年5月31日に私と田中敦朗議員とともに市長に対して、監査委員の説明責任、監査実施時の観点、監査意見の判断時の基準などを条例により明確化すること及びそれに付随して、会議時の詳細議事録作成と監査意見の後日の訂正制度並びに委員の選任についての課題を改善することを提言いたしたわけでございます。  この提言につながった理由を若干述べなければなりませんが、私たちの調査において、監査委員のうち識見委員の業務の中で意見判断時の議事録がない、判断基準が法令・条例・基準・条理というものによらず不明確な中でなされている、決算監査時の不十分な監査により見逃しがあるという専門性の欠如、監査と司法の混同がある、監査資料の見落としにより判断に錯誤があるということなど、大きく分類しまして5点もの不適正と断定できる点が発見されたことによるわけです。  もともと監査委員の制度とは、地方自治法で定められて、自治体が公正で合理的かつ効率的な事務処理を行うために設置が義務化されているものでありまして、その機能としては、自治体の情報公開と説明責任を促して、住民自治に寄与するということが求められているわけです。しかし、本市の識見委員におきましては、今、調査で述べましたように、特に情報公開と説明責任の点で不適正な行動があっておりまして、今、あいまいなお答えしかありませんでしたけれども、判断基準も明確ではない中で、これが改善されなければ、ローカルガバナンスの構築はおぼつかないと考えます。  この制度は、2009年の第29次地方制度調査会で全国的な形骸化が指摘され、改善のための論議が始められてから、2010年に総務省に設置された地方行政検討会議で課題分析が進められ、制度見直しの考え方が示された後、独立性と専門性を高めるための外部化と首長の最高責任、内部・外部監査の明確化、監査機能の共同化という3つの見直し案が提示されているわけです。  この提示された見直し案がそのまま法改正されるかということは確定しておりませんが、私たちの調査と合致するような専門性の欠如や事務処理の不適正は一貫した課題として取り上げられておりまして、法改正を待たずとも、地方の条例で改善が可能なものは、独自の判断で直ちに改善されなければ、住民からの信頼も自治体の公正も得られないものと考えます。  そういう観点から、市長は、私たちが提言した監査制度の改善についてどのように課題としてとらえ、どのような考えを持って対応していかれるのか、お尋ねいたしたいと思います。  さらに、本議会で坂本邦彦監査委員の選任同意議案が提出されました。私の調査では、同氏の不適切業務というものが明らかにされておりまして、市政発展のために不同意ということを検討いたしましたが、市長はその過去の行動を私たちの提言で知った上で適任として選任したいと言われたことから考えまして、今後、同氏の業務の適正化を厳しく指導されるものと判断して同意いたしました。今後、同氏に不適正業務が見られた場合、任命者としての市長の責任と行動はどうされるのかお尋ねいたします。  また、時間が押しておりますが、せっかくの機会でありますので、あわせてお尋ねいたしますが、さきの調査の折、識見委員が用いた「総合的に判断」という表現の不適切さを指摘いたしました。この表現は、社会通念では明確に理由を示すことができないときに用いると解釈されておりまして、説明責任を負う行政機関が使用することは不適切と感じますが、この表現を用いることについての市長の見解をお答えいただきたいと思います。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  監査制度のことにつきまして数点お尋ねがございましたので、お答えさせていただきます。  先ほどお話がございましたように、監査制度の見直し、全国的な傾向として、その制度の諸課題でありますとか、あるいは改善の必要性などに言及されているところでありまして、そして議員も含めまして、本市の監査委員制度に対する6項目から成る提言をいただいたというものでございました。  監査委員制度についてでございますけれども、地方自治法に規定されておりますように、監査委員の職務権限は普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び団体の経営に係る事業の管理を監視するという重要な役割を担っていただいているところでありまして、行政執行に対するチェックを公平公正に行う必要があると認識いたしております。  御提言でございますけれども、監査制度の透明性、公正性の向上を意図された御提案でございました。この中には、現行制度の中で充実させていく必要があるものや、また新たな条例等が必要なものなどもございました。例えば議事録の作成につきましては、他都市の状況も参考にしながら、その充実に努めておられると伺っております。また、一方、条例化などの提案につきましては、既存の法令に同趣旨の規定がございますものや、現行制度上、想定されていないものなどもありまして、その点につきましては現状では難しいのではないかと考えているところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権を推進してまいります中で、地方公共団体における監査機能の果たす役割というものはさらに増しているところでありまして、国におきましても、先ほどお話がありましたように、改善の議論がなされているところでありまして、その動向というものもやはり注視しておかなければならないのではないかと考えております。  そして、任命責任ということでお話がございましたけれども、住民の信頼を確保し、透明性のある行政運営を行うために、行政執行に対するチェック機能を働かせることが監査委員の役割でございまして、監査自体も住民からの信頼を得ることが重要でございます。その信頼を損ねるような監査がないよう、選任に当たりましては、監査委員として職責を十分に果たせる人物を選定するように慎重に行う必要がございます。  監査委員の選任につきましては、そのような観点も十分に踏まえまして、市長が議会に同意を求めて、任命するということになっておりますので、もちろん任命責任というものは私にございますけれども、先ほど申し上げましたような観点の中で選任させていただいたというものでございます。  また、先ほど「総合的に」という、その使い方についての是非がございましたけれども、詳細につきましては承知いたしておりませんが、ただ必要に応じまして、総合的というような表現も使う場合はあるのではないかと思っております。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  今の答弁を聞きますと、改善提言への対応を余りとられる気はないなというふうに聞こえたのですが、市長の答弁の中で、法に規定されていない部分については条例は難しいというお話があったんですけれども、逆に、自治基本条例は法に定めのないものを定めてつくるというようなお話で進んだのではないかなと思います。そういう意味では市長の答弁は非常にちぐはぐですよね、それをきちんと指摘しておきたいと思いますが、本当に監査の役割ということは大事な役割なんです。先ほど申しましたように、説明責任を促して、情報公開を図るというような側面がありますので、そういった意味で内部牽制機能として、住民の方の納得をいただくために監査機能というのはあると思いますので、それを適正化するという対応をしっかりと改めてお願いしておきたいと思います。  最後の「総合的判断」ということなんですけれども、用いることはあるということなんでしょう。ただ、時間がないのですが、御紹介しておきたい文章もありますので、ちょっと読みます。  「金融機関は交渉事においてどうしてもお断りしなければならないことがある。そんなとき断る理由をはっきりと言わないことがある。例えば『総合的判断の結果』など理由をぼかすケースがある。それは表立って言いがたい理由だったり、相手からの反論をはねつけたかったりするからである。」、事例が書いてあるんですけれども、「要は白か黒かはっきりわからないし、聞いてよどみなく答えられても信用できるかわからない。表面上問題なく回答されたら、何となく怪しいからという理由だけでは断りにくくなる。はっきりと指摘できなくても、それまでの経緯から避けた方が無難ということもある。そんなはっきり答えたくない理由で断るケースはざらにある。銀行もいろいろと経験してきているし、断ることで波風が立つこともよく知っている。『総合的判断』はまことに便利な方便なのである。」  もう一つあります。「最近では、顧客に対する説明義務が強調されるので、使われなくなってきたが、以前はほとんど『総合的判断の結果』などと理由をぼかしていた。」  この後、いろいろ続くんですけれども、理由をぼかす。これにあるように金融機関でさえ、説明義務が求められたときは使わなくなってきているという中で、行政で使うことはあるんでしょうけれども、使ってはいけないんだろうという感じもいたします。きちんと説明していただいて、意見をいただき、それをもとにまた進めていく、そういうことを考えたときには大変不適切な表現ではないかということを指摘させていただいて、最後の質問に入りたいと思います。
     私は本議会に20年以上在籍させていただいて、私自身、真剣勝負として数多くの質問を行ってまいりましたが、この場で逆に議員各位の真剣な思いに基づいた提言というものも数多く見聞してきたわけでございます。しかし、市長を初め執行部の方々の答弁を聞いておりますと、研究とか、検討といったものがいかに多いかということを感じるのは私だけではないと思います。本日の答弁の中にもかなり入っておりました。  我々議員は、それぞれに議員各位が住民と対話して、そこでとらえた課題の解決を考え、先進事例などを研究しながら、政策討議的に質問を行っておるわけです。その場でのやりとりで明確な結果を得たいということは当然でありますけれども、しかし一方で、執行部が瞬間的かつ軽々に確定回答できないという配慮から、研究や検討という表現を使用されることは理解できなくもありません。  しかし、その研究や検討ということの結果は、相互の信頼関係の上からも返されなければならないものと考えますが、どれだけ返されているのかという疑問が残るわけです。当然我々議員は、言いっ放しにならないように、可能な機会をとらえて再度質問を行ったりするわけですが、本議会の現行制度では、本会議場で短期的に細かく質問を実行することができないわけで、その結果、お尋ねする期間があいてしまうとともに、次々に提言したいことが起きてきますので、なるべく再度質問することで、限られた時間を使いたくはありません。ただ、そういう部分で議会の形骸化という指摘を受けてしまう原因の一つがあるのではないかとも感じておるわけです。  これら研究や検討の結果は、執行部の方から私ら議員への直接説明という形で非公式な場で説明されることもあるわけですが、住民から見える形で公的な場でその結果をもとにした議論が展開されなければ、市長も議会も相互に住民から信頼を得ていくことの阻害要因となってしまうのではないかと感じます。  そこで、住民から見える形で公開された場での明確な議論ができるよう、この研究、検討ということの結果、また結果が得られていない場合には途中経過について定期的に公開するようなルールを制定すべきであると考えますが、このルール化についての市長の見解をお示しいただきたいと思います。ただ、お示しいただくとき研究、検討と言われるなら、その返し方まで明確にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  議会答弁への責任についてということで、研究、検討と答弁したときのその後の進捗状況をある意味ではルール化するようなことというような御提言であったわけでございます。  今、御指摘もございましたように、確かにきょうの下川議員への答弁、あるいは本議会におきましても研究、検討という言葉をかなり使わせていただいているのは、皆様方も感じておられるところであります。ただ、そこには私どもといたしましても、質問をいただく中で議会対応会議をし、どこまで答えるかということは、かなり突っ込んだ議論をさせていただいているということは一言申し上げておきたいというふうに思います。ただ単に検討、研究で済ませておこうというような安易な気持ちで申し上げているものではございませんし、さらには研究や検討も、ある意味では項目自体を初めてお聞きするようなもの、そして他都市等の調査から始めなければならないようなものもございますけれども、ただ研究の中でも具体的な方向性を示して、そしてその方向に向かって研究すると答弁させていただいているものもあるのではないかというふうに思っております。  ですから、安易な研究、検討という言葉は、私たちとして、それは極力避けなければならないというふうに思いますし、この公の場での議論で発言したことの重みということを十分に踏まえました中で、その後の対応というものも心がけてまいりたいというふうに思います。なかなか一定のルールを設けるというものは難しいところはあるわけでございますが、ある意味では、まさに議会や委員会、公の場でやりとりさせていただく、それが議事録として残っていくということ、それを通じて市民の皆様方にも知っていただくということでありますことから、そのことがやはり基本ではないかというふうに思います。しかしながら、さらなるという部分につきましては、それこそ研究させていただきたいと思います。          〔45番 下川寛議員 登壇〕 ◆下川寛 議員  漫才ですね。市長はおっしゃいますけれども、議事録の中で残っていくと。でも、「研究」と議事録が残って、その研究の経過すらわからなければ、次に何も進まない状況です。実際、私、20年以上前にこの場で質問して、研究、検討と言われて、まだ結果が出ていないものがあるんです。どれだけ長期間研究しても、その経過があれば、次のことにまたステップアップできる、そういうことで議論が深められていくということがあると思います。大事なのは、結果でなくても経過を公開の場で一覧表で出されてもいいと思うんです。どういう状況になっていますということが明確に表に出されて、表の場でしっかりとした議論ができることが大事だと思います。  今はなくなりましたけれども、先日までインターネットで行政用語の基礎知識というようなサイトがありまして、検討について、議会で質問されたときに、本当はやりたくないけれども、あなたの顔を立てますという解説がついていたことがあるんです。今はなくなっているので、そういうことはないと思うんですけれども、そうであってはならない。真剣な議論の場で、表できちんと議論していく体制をつくっていただきますようにお願いして、時間がなくなりましたので終わりたいと思います。一応用意した質問は、すべてお尋ねいたしました。  私は、現在、大学院に通学しながら、地方議会が真の住民代表としての機能を果たす手法を検討しますとともに、今後の市政発展につながる政策の基礎を調査研究いたしております。本日は、いまだその研究も途上でありまして、あやふやなものもあったかもしれませんが、この春からの調査研究の成果をもとにした質問項目を用意して、私が基本姿勢としてきた政策提言型と少し形を変えるとともに、少し前から実は全国的に問題視された質問のすり合わせを廃して、質問を実施いたしました。  最後の項で申し上げましたとおり、確定回答を引き出すために質問前の議員と執行部のやりとりがあることは、全国共通の暗黙の事実でありまして、必ずしも悪とも言えず、政治の結果責任を求めるためには必要な側面があることも確かであると感じます。しかしそれが発展し過ぎれば、緊張感のない議会となってしまい、議会に対する批判の一因となってしまうことも考えられますので、今回はそれを緩やかにしたテストケースとしての質問を実は実行させていただきました。これに対する評価は今後検証していきたいと思いますが、議会が二元代表の一翼を担う機関として、真に住民代表として信頼されることにつながる活動を行っていくことをこの場でお誓いしまして、長時間の御清聴に感謝申し上げて、質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手) ○田尻将博 副議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後2時に再開いたします。                              午後 0時02分 休憩                              ───────────                              午後 2時01分 再開 ○津田征士郎 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。       ─────────────────────────── ○津田征士郎 議長  質問を続行いたします。田辺正信議員。          〔50番 田辺正信議員 登壇 拍手〕 ◆田辺正信 議員  どうもお疲れさまでございます。市民連合の田辺正信でございます。本会議3日目で、それに午後ということもございまして、お疲れのこととは思いますが、できるだけ重複は避けて簡潔に質問していきたいと思います。よろしくお願いいたします。  いろいろ論議もされておりますけれども、7月12日に起きました災害、これまで経験したことのない記録的な豪雨に見舞われました。本市はもとより、県内各地で甚大な災害がもたらされ、今、懸命にその復旧作業が進められております。私ども13日の日に中川防災大臣と一緒に現地に行きましたけれども、その被害のすごさを目の当たりにしまして、今は一日も早く復旧できればと思うわけであります。  民主党はもとより、政府もこれまでにない対応がなされ、せんだっても中間報告が行われまして、大体の災害対応の道筋が見えてきたのではないかなと思っております。どちらにしましても、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧復興を願うものでございます。  それでは、早速、質問に入りたいと思います。  まず、食肉センターについてでございます。  食肉センターにつきましては、私もこの場で何回か申し上げてまいりました。平成15年に行われました食肉センターのあり方検討基礎調査実施後、それを契機に食肉センターを廃止することが打ち出されてきたわけであります。その後、平成23年に熊本畜産流通センターへの機能統合の方向が出されたわけであります。そして、これまで準備を進めてこられたわけでありますけれども、熊本畜産流通センターへの移転について、これまで努力されてきたことについてはいろいろとお聞きしておりますが、なかなか難しい状況のようでございます。現在は、平成25年度中の廃止に向けて取り組みが進められているようでありますが、これからの対応について幾つかお尋ねいたしたいと思います。  私は、食肉センターの廃止が打ち出されて以降、一貫して関係者の方々に不安を与えないよう、そして代替施設確保の施策、スケジュールを明らかにし、関係者への説明を十分に行うように申し上げてまいりました。それに対し、幸山市長は、関係者との合意形成に向けて最大限努力していくとのことでございました。そして、25年度のセンター廃止に向けて、市民への安全安心な食肉を提供するために、牛、豚、馬の屠畜機能を確保するために、関係者との間で努力をされてきたことについては一定の理解をするものでありますが、残念ながら廃止の問題は、ある意味では振り出しに戻ったような気がしております。  七城の熊本畜産流通センターのことにつきましては、経済委員会集中審議の中でも質疑が行われておりますが、今日までの関係者の対応について、どのようになされてきたのか、まずお伺いいたしたいと思います。  食肉センターの問題について、多くの議員から指摘される中で、関係者との意見交換や協議が行われているようでありますが、再度申し上げますが、関係者の方々に不安を与えないよう、代替施設の確保や関係者の意向についてどのように対応し、受けとめていかれるお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。  最後に、さきに申し上げましたように、平成25年度中の廃止を考えられているようでありますが、廃止までのスケジュールについて明らかにしていただきたいと思います。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  食肉センターに関しましてのお尋ね2点ございましたが、お答えさせていただきます。  食肉センターの廃止に向けましては、これまで進めてまいりました熊本畜産流通センターへの機能一体化は難しい状況になりましたことから、本年度は多方面にわたり、あらゆる選択肢を探り、屠畜機能の確保を目指すとともに、関係者との一層の協議を行い、意見や意向を踏まえながら、課題を一つ一つ丁寧に解決しながら進めてまいる所存であります。  関係者の意向へどのように対応し、受けとめていくのかとのお尋ねでありますが、具体的には、利用業者や解体等技術員を初めとする関係者を対象といたしまして、本年5月、説明会を開催いたしております。これまでの経緯や今後の方針などにつきまして説明いたしますとともに、食肉センター廃止後の屠畜機能の移転先や就労の希望などの意向調査も実施したところであります。  現在、この調査を踏まえまして、屠畜機能移転先で希望が多かった各施設と協議などを進めているほか、関係者への支援につきましても検討を進めておりまして、特に解体等技術員につきましては、廃止後の就労等が大きな課題となりますことから、個別面談の実施や、雇用開発協議会におきましては再就職に向けた職業能力開発のための助成金引き上げなどの対策も実施しているところであります。  今後のスケジュールについてでありますが、現在、屠畜機能の確保を初めといたしまして、諸課題につきまして関係者と協議を進めているところでありまして、現時点では具体的に詳細にお示しすることはできませんが、いずれにいたしましても、平成25年度中の廃止に向けまして、今後も鋭意取り組みますとともに、議会への報告や御議論もいただきながら着実に進めてまいりたいと考えております。          〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  今、幸山市長はさらっとお答えになりましたけれども、食肉センター問題について、私からしますと、何一つ解決していないのではないかなという気がします。そういう意味で振り出しに戻ったという表現をさせていただきました。どちらにしましても、関係者の方々、いろいろな御意見を今お伺いされているようでありますから、合意形成を図りながら、御理解をいただきながら、これからの対応、スケジュールに乗って、取り組みを進めていただきたいと思います。  特に豚、牛、馬、それぞれ屠畜場をどこにするのか、これから関係者、また七城はもとより、いろいろなところとの話が進められてくると思いますけれども、馬の屠畜場の問題がどちらにしても最後になるような気がいたします。これはある意味では、熊本のブランドでもございますし、そういう意味からしますと、平成25年度中に食肉センターについては廃止するというようなお答えでありますけれども、そもそもそれ自体ができるのかなという気もいたします。  しかし、どちらにしましても、先ほどお話がありましたように、関係者の皆さん方の御理解をいただくような対応を今後ともお願いしながら、次の質問に移ってまいりたいと思います。  中心市街地活性化についてでございます。  中心市街地の活性化事業は、これまでもこの本会議の中でされていますけれども、平成11年に策定されました熊本市中心市街地活性化基本計画から、平成18年8月に施行された中心市街地の活性化に関する法律に基づき、平成19年5月に内閣総理大臣の認定を受け、平成19年3月に策定された熊本市中心市街地活性化基本計画、平成24年3月に策定された2期の熊本市中心市街地活性化基本計画により進められてきたわけであります。そこで、現在までの進捗状況を踏まえ、幾つかお尋ねいたしたいと思います。  これも答弁の中にありましたけれども、NHK熊本放送会館が千葉城町から花畑町の花畑公園北側に移転することになりました。花畑地区の開発も新たな局面を迎えているようであります。幸山市長は、花畑地区の開発計画が動き出すことになり、桜町・花畑地区全体の弾みになるとコメントをされています。  そこで、花畑・桜町地区の再開発についてお尋ねいたします。  まず、先ほど申し上げましたNHK熊本放送会館の移転により、当然のことながら、花畑地区の開発の見直しがなされることになるわけでありますが、当初の開発計画からどのような開発計画に変わるのかお聞かせいただきたいと思います。  特にこれも指摘されましたが、産業文化会館が閉館されてから4年目を迎えることになります。産業文化会館を利用されてきた市民の皆様はもとより、関係者の方々からも多くの批判が出ている中、これ以上、現状のまま放置することは許されないことではないかと思うわけであります。産業文化会館の扱いについて、見直しも含め検討を行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。  さらに、これに関連して、シンボルロード及び桜町地区の開発についてお尋ねいたします。  この問題については、昨年の12月議会で我が会派の上田議員が2期基本計画の策定及び1期基本計画の進捗状況と2期基本計画の総事業費の額等、詳細にわたってお尋ねしたところでありますが、その後の状況について、まずお尋ねいたしたいと思います。  通称シンボルロードについては、桜町・花畑周辺地区まちづくりマネジメントに関する検討委員会で検討が行われているようでありますが、その結果についてお聞かせいただきたいと思います。  また、桜町地区については、当初のまちづくり計画では、交通センターや県民百貨店、NTT西日本熊本支店周辺を都市圏交通、文化・交流・商業地域の拠点や町なか居住機能を含めた複合機能地区として位置づけ、再開発による多様な都市機能の集積を図るとのことでありましたが、先般、3,000人収容することができるコンベンションホールの話が出るなど、具体的な動きも出ているようであります。できるだけ詳しく現在の状況についてお聞かせいただきたいと思います。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  中心市街地の開発につきまして、大きく2点、花畑地区の開発及び産業文化会館の扱いについて、さらにはシンボルロード及び桜町地区の開発について、順次お答えさせていただきます。  まず、1点目でございますけれども、情報発信機能を受け持ちますNHK熊本放送会館の花畑地区への移転でございますが、中心市街地の再デザインに取り組んでおります本市の拠点性向上に寄与するものであり、大いに歓迎するものであります。  一方、熊本市花畑地区開発協議会におきましては、現在、今回のNHKの移転を再開発の呼び水として、当初の事業計画区域でございました花畑地区南側のA街区に区域を絞りまして、事業計画案の練り直しが行われている状況にあります。  市といたしましては、早期のにぎわい創出へ向けた整備が促進されることが必要と考えておりますが、協議会も事業計画案の練り直しに鋭意努力されている状況にございますことから、まずはそこにでき得る限りの支援を行っていきたいと考えております。  しかしながら、旧産業文化会館でございますが、お話もありましたように、閉館されてから4年目を迎えることもあり、各方面からその取り扱いについて、さまざまな御意見をいただいていることも承知いたしておりまして、本市といたしましても、何らかの方向性を固める時期にあると考えております。  続きまして、通称シンボルロードの検討状況についてでございますが、本年3月に「熊本城と庭つづき、まちの大広間」をコンセプトといたしましたシンボルプロムナード基本構想を策定したところでありまして、車が中心のシンボルロードから人が中心となるシンボルプロムナードの実現に向け、本年度から2カ年で基本計画の策定に取り組んでいるところであります。  本年7月に開催いたしました第1回検討委員会におきましては、基本計画の構成や民地も含めました空間デザインに関する規制、誘導するべき事項やその担保方策、さらには官民協働による利活用、管理運営のあり方などについて議論が行われたところであります。  最後に、桜町地区についてでございますが、平成20年6月に準備会社が設立されておりまして、ことし3月に熊本市コンベンションシティ基本構想におきまして、桜町地区に、先ほどお話もございましたように、3,000人収容できるMICE施設を整備することとしたものでございます。  桜町地区における開発につきましては、熊本桜町再開発準備会社におきまして、施設計画や資金計画などを含めまして、事業フレーム案の検討が行われているところであり、本市としても積極的に支援を行っているところであります。準備会社は、事業フレーム案の取りまとめ等に時間を要してはおりますが、平成24年度内の都市計画決定、平成28年から31年の完成をめどに、事業に取り組んでいるところであります。  いずれにいたしましても、ただいま答弁いたしましたような花畑、そして桜町、さらにはシンボルプロムナードの事業は、にぎわい創出や回遊性向上はもとより、本市中心部の活性化を牽引し、都市の魅力向上に大きく寄与する重要な事業であり、市といたしましても、でき得る限りの推進を行っていきたいと考えております。          〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  私どもが一番思いますのは、産文会館のことだと思います。きのう那須議員からも指摘がありました。新市街含めた中心市街地の経済的な面で悪い影響が出ているという話でありました。要するに人の流れが悪くなっているということです。これが順調にいきましても、あと3年、4年は続くことになります。そういう意味からしますと、これまでの待ちの姿勢で花畑地区の再開発が進むとはどうも思えません。駅前もそうでありましたけれども、やはり熊本、地方都市というところから考えますと、中央からの投資というのはなかなか望めない状況でもございますし、ここで熊本市が一肌も二肌も脱がなければ、この中心市街地の活性化は進まないと私は思います。ですから、このまま支援するという立場では困ったものだなと思います。私自身は、これまでも何回か申し上げましたように、熊本市の中心地の開発については支援する立場でこれまでもお話をしてきましたし、そういう意味でも幸山市長、ここで何か一つアクションをぜひ打つべきだと思いますので、この辺については強く要望しておきたいと思います。  続きまして、運動公園についてお尋ねいたします。  運動公園は、スポーツ・レクリエーション等の技術の習得と向上及び体力の増進のために、都市基幹公園として整備されてまいりました。ちなみにその規模は、都市規模に応じて15から75ヘクタールが標準となっているようであります。現在、スポーツ人口がふえ続ける中で、運動公園の整備を求める声は私は高まっていると思っています。  これもせんだって申し上げましたように、熊本市域にある運動公園は、水前寺運動公園、未整備となっております南運動公園、それに県によって整備された熊本県民総合運動公園となっていることは御承知のとおりでございます。6月議会でも水前寺運動公園の陸上競技場のことが取り上げられました。施設が老朽化して、多くの問題を抱えていることが浮き彫りになったのではないかと思います。これから耐震対策も含め、平成26年度までに検討され、27年度に着工されるとのことでありました。この水前寺運動公園の中にある陸上競技場は、戦前にあったものを昭和25年から26年、1年ぐらいかけて、大改修がなされたものであります。  陸上競技場は、そういう意味では、これまでスポーツのメッカといいますか、拠点となってきたものであることは間違いありませんが、先ほど申し上げましたように、非常に問題を抱えている施設であると言えるのではないかと思っております。そして、陸上競技場は、昭和35年の第15回熊本国体でそのメーン会場となったわけであります。また、水前寺野球場は、昭和13年にスタンドを完備した野球場として完成し、昭和63年に全面改修等が行われまして、これまで市民の皆様に利用されてきているわけであります。  さらに、これは違和感を感じられるかもしれませんけれども、熊本市では昭和25年から競輪が始まっていることから、競輪場については、これまで何回も改修が行われてきていますが、これまたかなり古い施設となっております。比較的新しい施設といえば、県の武道館ということになります。それぞれ今申し上げましたが、12ヘクタール余りのところにそれぞれの施設があることから、これは皆さんもいつも感じられると思いますけれども、駐車スペースも十分とれず、改修もまたままならないような状況にあります。  そもそも水前寺運動公園は、陸上競技場、野球場、競輪場等の施設があったところに、昭和31年に運動公園として都市計画決定されたもので、当初から運動公園として整備されたものではございません。そういうことから、いろいろな問題が生じているように感じられるわけであります。先ほど申し上げましたように、陸上競技場の抱えている問題等については、詳細にわたって6月議会の中で浜田議員の方から質問がなされております。  そこで、私からは、現在、各施設が抱えている問題、さらには改修がスムーズに進まないのはなぜか、お聞かせいただきたいと思います。  次に、南運動公園についてお尋ねいたします。  この問題については、私は22年の間、たびたびこの場で、一日も早い南運動公園の建設を求めてまいりました。ところが、無責任にも半世紀余り放置してきたことを棚に上げ、長期未整備の公園として見直しを図るとは、私は言語道断だと言わざるを得ないと思っております。この見直しは、平成19年から始められているようでありますが、平成20年に県が行った未着手公園における整備方針のアンケートでは、都市計画の廃止を検討しているのは熊本市のみということでありました。どの自治体でも、このような問題はないようでございます。  さきの幸山市長の答弁では、市民の健康増進の場として、浜線健康パーク、西部スポーツセンター等を開設し、運動施設として機能拡張を図ってきたとのことでありました。私は、皆様御承知のように、運動公園とスポーツセンターの機能及び役割は全く違うことを申し上げてまいりました。私自身は、幸山市長のそのような認識を疑うものであります。  そこで、お伺いいたします。水前寺運動公園の生い立ちを申し上げましたように、これまで熊本市として、運動公園の整備は実質的には一つもされていないわけであります。他の政令都市と比べてみても、情けない状況にございます。改めて見直しを進めてこられたこれまでの経過と南運動公園の早期建設に向けた対応についてお伺いしたいと思います。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、水前寺運動公園について、南運動公園について、2点につきまして順次お答えさせていただきます。  まず、水前寺運動公園の施設が抱える問題につきましては、陸上競技場と競輪場の耐震化整備がございます。この耐震化整備を進めてまいります上では、ただいま御指摘もありましたように、運動施設が建設された後で法律が整備されたこともございまして、現在では次のような法的な課題がございます。  まず、当公園は第二種中高層住居専用地域でありまして、建築基準法により、建物は2階以下、床面積は1,500平米以下と規定されておりますが、陸上競技場におきましては、3階建て、床面積も約8,700平米と基準を超えております。さらに都市公園法の規定におきましては、公園全体での建ぺい率は12%以下、施設敷地面積の割合は50%以下でありますが、それぞれ13.2%、67.34%と基準を超えている状況にございます。このようなことから、今後の陸上競技場の改修につきましては、現在、庁内におきまして検討会議を立ち上げ、耐震化整備の方法や内容について協議をいたしておりまして、平成27年度までに耐震化対策を行ってまいりたいと考えております。  続きまして、2点目でありますが、南運動公園についてでございます。この南運動公園を含めまして、これまで長期にわたり未着手、未整備となっている公園につきましては、その後の社会情勢の変化などもございまして、公園整備の必要性を含め、見直しを行っているところであります。  これまでの経緯でありますが、平成22年度に基礎調査を実施し、平成23年度に長期未着手の都市計画公園の見直しにつきましてのガイドラインを策定し、対象となる地域の公園整備状況や土地利用の変化などを調査いたしました上で、現在、整備や見直しの方向性を検討しているところであります。  お尋ねの南運動公園の検討状況でございますが、南運動公園が都市計画決定されました昭和37年当時は、市民の運動施設は水前寺運動公園のみでございましたが、昭和53年に熊本県民総合運動公園が開設され、以降、浜線健康パーク、南部スポーツセンター、アクアドームくまもとを開設。さらには、現在、平成4年に開設いたしました西部スポーツセンターにつきましては、城山公園として再整備を行っておりまして、運動施設について機能拡充を図ってきている状況にございます。  南運動公園につきましては、このように取り巻く社会情勢が大きく変化いたしておりますことから、期待されているスポーツ施設としての機能や役割などについて検証を行い、整備の是非も含め、あり方を検討しているところであります。  なお、南運動公園も含めまして、長期未整備公園の見直しの対象となります各公園につきましては、見直しの方針案を作成いたしました後、パブリックコメントを実施いたしますとともに、説明会等によりまして、地域住民の意見を伺いながら、見直し方針を決定してまいりたいと考えております。          〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  先ほど説明がございましたけれども、水前寺運動公園、野球場にしても、陸上競技場にしましても、現在の規模ではもう改修できないということであります。面積も建ぺい率も上回ってしまっていると。ある意味では、法的には違反した建物ということになります。長い間利用されてきたところでありますけれども、関係者の皆様からしますと、あそこでなければだめだという方もおられるかもしれませんけれども、しかし今後の熊本市のスポーツ界のことを考えますと、ここで水前寺運動公園そのものをリニューアルするのではなくて、移転も含めて、私は考えていくべきだと。そのことが今後のスポーツ界にとっても、これから熊本がスポーツ王国として、さらに親しまれる場所になっていくのではないかと思いますし、そこでいろいろな選手が生まれてくると思うわけであります。          〔議長退席、副議長着席〕  南運動公園の関係は、正直申し上げまして、半世紀余り放置して、何らそのことに対して責任をとられないという、そればかりか、もう状況は変わったから、計画はなくしますよと、廃止しますよと、こんなでたらめなことがまかり通るならば、世の中で信じるものが何もなくなってしまうのではないかと思います。特に都市計画決定というのは、そんな軽いものなのかなという気持ちが率直にいたします。今後の検討をさらに強く要請しておきたいと思います。  続きまして、食育についてお尋ねいたします。  食育については、我が会派の福永議員が平成23年の第4回定例会で食育の取り組みと現状、熊本の農業を通した食育の取り組み、小学校の給食調理員の新規補充等についてお伺いし、それに対し、廣塚教育長は、食育指導案集等を活用し、栄養教諭等による給食時間での食に関する指導、家庭科等での専門的な知識を生かした授業の実施、ふれあい給食会の実施に取り組んでいる。また、熊本の農業を通した食育の取り組みについても、農業体験学習や地域の農産物に直接触れたり、大豆を栽培して、豆腐や納豆づくりを行う等の体験学習に取り組んでいる等が述べられております。  皆様御承知のとおり、食に関する指導の目標として、食事の重要性、心身の健康、食品を選択する能力、感謝の心、社会性、食文化等、6項目が挙げられておりますが、子供たちの成長過程においては非常に重要な事業であるわけです。  そこで、食育についての小中学校の現状と今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。  次に、学校給食について何点かお尋ねいたします。  物資の適正・円滑な供給に努め、児童・生徒の心身の健全な発達に資することを目的として、熊本市学校給食会が昭和27年に発足し、それ以降、事業が進められているわけであります。学校給食会の事業内容としては、学校給食用物資の共同購入、学校給食の普及奨励、食育推進事業、学校給食の実施に必要な調査研究事業となっているわけであります。先ほど申し上げましたように、子供たちの成長過程において、事業としての食育の一翼を担っているのが学校給食会ということになります。  その中で、物資の調達の関係では、県の学校給食会との関係がかなり比重を占めているわけであります。本市が政令指定都市に移行する中で、教育委員会の事業は県から市へ移行いたしましたが、学校給食の関係はどのようになっているのでしょうか。これからの本市の学校給食会の充実を図っていく立場で、これからの事業を進めていくとすれば、当然のことながら、見直すべきは見直す必要があるのではないかと思うところであります。  学校給食のことについてお伺いいたします。現在、熊本市学校給食運営検討委員会が設置されて、学校給食の円滑な運営について総合的に検討が行われています。その中に給食費の問題があるようです。給食費は、平成12年以降、据え置きとなっておりますが、皆様御承知のとおり、食材価格の高騰によって、現在の給食費では運営が難しくなっているわけであります。ことしの異常気象により、小麦、大豆等の穀物の価格が高騰するのではないかとの話もございます。来年はさらに厳しくなることが予想されます。  熊本市の小中学校の給食費は、これまた皆様御存じのように、小学校210円、中学校260円となっております。そこで、他の政令市を見てみますと、小学校で一番給食費が高いのが新潟市で266円、低いのが堺市で205円となっております。平均で231円90銭となっています。ちなみに、熊本市は下から2番目の低さであります。中学校も一番高いのが新潟市で326円、低いのが熊本市、北九州市で260円、平均が282円となっています。本市の給食費の運営が厳しいのも、これから伺うことはできるわけであります。給食費の値上げは、保護者の理解抜きには到底できるものではございませんが、このまま放置することにはならないのではないかと思うところでございます。  私の気持ちからしますと、給食費については無料にすべきだと思いますが、そういうことにもなりません。しかし、給食費の補助については考えるべきではないかと思います。東京都江戸川区では、子育て家庭への経済的な支援を行うとして、給食費の3分の1を中学校33校、小学校73校、合わせて約5万3,000人に補助費として約5億円を出しているようであります。九州はもとより、熊本県内においても補助を出されている自治体がございます。本市としても、給食費の補助を検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。給食費と給食費補助についてお尋ねいたします。
             〔廣塚昌子教育長 登壇〕 ◎廣塚昌子 教育長  食育に関します3点のお尋ねにお答えいたします。  まず、小中学校の現状と今後の対応についてでございますが、子供たちに対します食育は、生涯にわたって健全な心と身体を培い、豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となる重要なものであると認識しております。  議員御紹介のとおり、学校における食に関する指導におきましては、食事の重要性を理解したり、心身の健康のため、みずから食生活を管理したり、食事を大事にする感謝の心を持つなど、6つの目標がございます。これらの目標を達成するために、例えば心身の健康に関しましては、保健体育における生活習慣病についての学習や家庭科におけるバランスのとれた食事を考える学習、また学級活動におけるみずからの食生活を振り返る活動というように、各教科等の食に関する学習内容を相互に関連づけながら、横断的に指導することが重要となります。  そのために各学校におきましては、食に関する指導の全体計画や年間指導計画を作成し、体系的な指導に取り組んでおります。今後もこのような取り組みを進めますとともに、さまざまな機会をとらえ、これまで以上に食の大切さを保護者へ発信することで、家庭と連携した食育のさらなる推進に取り組んでまいります。  次に、食材の調達についてでございますが、本市の学校給食用物資は、牛乳と主食であります米、パンにつきましては、公益財団法人熊本県学校給食会を通して調達し、またおかず類などの副食につきましては、公益財団法人熊本市学校給食会を通しまして、同一規格のものを一括して調達しているところでございます。県と市の学校給食会の役割につきましては、長い歴史的背景等がございますので、役割分担の見直しにつきましては、関係機関を交えて、調査研究してまいりたいと考えております。  最後に、給食費と給食費補助についてでございますが、現在の給食費は、平成12年度の改定以来、12年間据え置きとなっていることから、その間の物価上昇に対しましては、食材の変更や献立の工夫を行うほか、議会からの御指摘を受け、今年度から安全安心に配慮しながら、少しでも安価に購入するために、規格外の野菜を導入するなど、行っているところでございます。しかしながら、現状といたしましては、大変厳しい状況でございまして、今年度は外部委員を含めました給食運営全般に係る検討委員会を設置いたしまして、その中で給食費の現状についての検証を行い、食育の視点を加えながら、今後の方向性について御議論いただいているところでございます。  次に、給食費の補助についてのお尋ねでございますが、給食の実施に係る経費は、学校給食法の規定により、職員の人件費及び必要な施設、設備に関する経費については設置者の、その他の経費については保護者の負担とされておりまして、食材費につきましては保護者の負担とさせていただいているところでございます。給食費のあり方につきましては、今後、研究してまいりたいと考えております。          〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  先ほど下川議員の方からありましたように、研究、検討が非常に多うございますけれども、実質的にそれを進める上での検討にぜひしていただきたいと思います。特に給食費は、いろいろな意味で努力されて、値上げにならないように、そして少しでも子供たちにおいしい給食をということで努力されてきたわけでありますけれども、いろいろお話を聞きますと、もう限界に達しているような気がしてなりません。それとあわせて、先ほど申し上げましたように、だれでも値上げは好きではないわけです。値上げを賛成する人はいません。  ですから、その辺に手を差し伸べるのが行政の役割ではないかと思うわけであります。江戸川区でも補助事業をやられているわけでありますから、当然のことながら、政令市としての熊本市の事業として考えるべき事柄ではないかなと思います。これは一両日中にすぐということにはならないと思いますけれども、よければ少しでも早く給食費の関係については結果を出していただくことを願いまして、次に移りたいと思います。  工芸産業の振興と人材育成についてお尋ねいたします。  くまもと工芸会館は、平成3年7月に開館して、22年余りがたとうとしております。この間、工芸協会を初め関係者の皆様の懸命の努力により、伝統工芸、現代工芸の拠点として知られるようになっていることは御承知のとおりであります。この会館を22年余りにわたって支えてこられたのが熊本市工芸産業振興協会、現在は一般社団法人くまもと工芸協会となっております。  協会は、工芸品の振興及び後継者育成を目的に、工芸会館の開館と同時に発足し、これまで長きにわたり工芸品の品質及び技術の向上のための研究、指導、後継者育成、工芸品の宣伝と販売路線及び販売拡張及び販売を手がけるなどの活動がなされてまいりました。その結果、発足当時44名だった会員が、現在では正会員59人、準会員6人となり、65人の会員が工芸産業の振興のために事業を行っておられます。  私も工芸会館の開館の年に議員となり、会館の運営に22年の間かかわってきた者の一人でもございます。平成6年3月議会では、工芸産業の後継者育成、技術力向上、工芸品の紹介等や施設の拡充、まちづくり拠点としての事業の推進について、熊本市としての積極的な取り組みを求めてまいりましたが、それに対し、当時の木村中小企業局長は私の質問に対し、伝統的工芸分野では高齢化が進み、深刻な後継者不足の様相を呈しているとの認識を示されているわけであります。その後の熊本市としての対応は、私が見る限り、遅々として進んでいないのが現状ではないかと思うわけであります。  このような状況の中で、工芸産業の振興や後継者育成の問題は、非常に深刻な状態になっていることもあって、今、関係者と熊本市との間で話し合いが行われているようでありますが、このままでは、これまで受け継がれてきた技術が失われてしまうことになりかねません。このような伝統工芸技術を伝承していくのは、私たちの責務であり、義務とも言えるわけであります。  そこで、危機的な状況にある工芸産業の振興と人材育成について、改めてお尋ねいたします。  工芸産業の振興対策については、職人の実態調査を含めた伝統工芸の現状把握を行う中で、伝統工芸品を普及するために努力されているようでありますけれども、現状は9月議会での工芸協会からの陳情の中でも述べられておりますように、工芸会館での創作実演、展示販売、自宅工房やアトリエでの制作販売等がなされているわけでありますが、バブル崩壊、リーマンショック等により、販売額は4割近くも減少しているとのことであります。かなり厳しい状況にあることがうかがい知れるわけであります。このような工芸産業の現状をどのように認識されているのか、工芸産業の振興についてどのような対応がなされているのか、まずお伺いいたします。  さらに、人材育成についてでございますが、前回、坂本局長は、後継者育成については、助成制度の活用も重要であるけれども、伝統工芸の紹介やPRに努め、販売促進に一層力を入れ、後継者育成につなげたいとのことでありました。しかし、先ほど申し上げましたように、工芸産業を取り巻く環境は厳しくなっており、このままでいきますと、熊本から伝統工芸はなくなってしまうのではないかと思うのは私だけではないのではないでしょうか。もう時間もそう残っていないような気がいたします。これからの人材育成計画を早急に考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  工芸産業につきまして、その現状、振興に向けた対応、さらには人材育成、3点につきましてお答えさせていただきます。  まず、現状についてでございますが、本市では、伝統工芸を中心とする工芸産業を、地域の文化を継承するとともに、地域の振興に貢献する産業として位置づけております。このような中、工芸の振興及び発展と地域の活性化を図ることを目的に、平成3年にくまもと工芸会館を開館し、ここを拠点として、工芸産業の振興に努めてきたところでございます。  その現状でございますが、県が指定する本市の伝統的工芸品を見てみますと、品目数では11品目、従事される方は21名、2団体でございまして、そのうち職人が1名しかいない品目が7品目となっている状況にございます。本市の伝統工芸は、職人の高齢化や廃業などを背景といたしまして、衰退の危機にあると認識いたしております。今後、その振興に積極的に努めていく必要があると考えております。  その振興に向けた対応についてでございますが、まず肥後象がんにつきましては、国の伝統的工芸品の指定を受けておりまして、魅力ある商品開発などに対し国と共同で支援を行っているところであります。その他の工芸品につきましては、工芸会館における制作実演、販売のほか、コンベンション協会の協力を得まして、肥後こまの絵づけなど、工芸の制作体験にも取り組んでいるところであります。  今後、工芸品全体の認知度アップ、販路拡大のため、関係機関等と連携しながら、例えば市内中心部の各施設における伝統工芸のPRや販売機会の拡大などにつきまして検討したいと考えております。  最後、人材育成についてでございますが、工芸品自体の需要の減少などによりまして、特に伝統工芸を中心に後継者不足の状況下にあることを認識いたしております。人材育成に対しましては、現在、くまもと工芸会館におきまして、広く伝統工芸への興味を持っていただけるような取り組みといたしまして、実演体験や年間講座のほか、小中学生などを対象とした工芸品づくりを学ぶ教室などを実施しているところであります。  一方、伝統工芸の振興のかぎを握る本格的な人材育成についてでありますが、まず職人の実態把握を行い、工芸に携わる職人が自立するために必要な技術や能力の取得に対する支援など、人材育成対策について検討しているところであります。  近年、先進技術がもてはやされる私たちのふだんの生活にございまして、ゆとり・豊かさへの志向の高まりも見られます中、手づくりでぬくもりのある伝統工芸品は、再評価される兆しもございます。いずれにしても、現代のライフスタイルの中で、いかに工芸品のよさを取り込んでいけるかを関係者と研究しながら、本市の伝統工芸を承継、そして発展させたいと考えております。          〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  今の工芸の特に伝統工芸の現状についての認識は一致するようでございます。今のお話の中で、販売、人材育成といったことについても今後検討し、いろいろ取り組んでいきたいということでございました。ただ、私が申し上げたいのは、もう時間がそのように残されていないということでございます。これはほかの現代工芸からしますと、若い人は結構多うございますけれども、伝統工芸は60、70ということで、かなり高齢の方々が多うございます。それに今お話がありましたように、後継者が1人とか、2人といった状況であります。過去、肥後こまの後継者育成が工芸会館でございました。何名か、その中で育てられたわけでありますけれども、肥後こまも現在1名の後継者ということになっています。それから、今後の対応いかんでは、これもますます後継者が少なくなっていくということです。  私たちは一回、南部鉄の南部鉄瓶で有名な施設を見に行ってまいりました。ここはいろいろお聞きになるとわかると思いますけれども、伝統工芸が現代工芸と合わせまして、今、非常に注目されていることもお聞きしておりますし、今、市長の回答にもありましたように、伝統工芸のよさを今後生かしながら、熊本のブランドとして、ぜひ育てていただきたいと思います。そういう意味で、何より増して、後継者不足という中での人材育成を一日も早くスタートさせていただきたいと思います。  続きまして、川尻御蔵、船着き場、国史跡指定に伴う整備についてお伺いいたします。  本市にとっても画期的なことでありますが、御蔵、船着き場、そしてもうしばらくしますと船着き場も国の指定史跡を受けることになります。このことについては皆様も御承知のとおりでございます。そして、御蔵については、所有者の方から市に対し寄贈が行われ、御蔵を含め周辺の土地についても地権者の御協力によって、せんだって購入が終わったとお聞きしているところであります。そのようなことから、これから御蔵、船着き場、御船手周辺の整備が進められることになると思います。  そこで、今回は周辺の整備について幾つかお尋ねいたします。  昨年からことしにかけて、広域案内サイン、矢羽サイン、歩行者案内サイン、車両案内サイン等、観光案内サイン整備が行われておりますが、25年度以降、本格的な整備が進められると思われますが、川尻米蔵周辺の整備としては、駐車場及びトイレ等が問題となっており、これまで検討がなされているようでございます。外城蔵跡の修復については、これから調査に1年、修復工事に2年から3年かかるとのことでございます。  まず、外城蔵の修復についてお尋ねいたしますが、土地の購入が終わり、調査、修復工事に入りますが、外城蔵跡の修復等、整備計画についてお聞かせいただきたいと思います。  次に、周辺整備として、駐車場、トイレ等については、関係者からも一日も早い整備が求められておりますが、いつまでに整備されるお考えなのか、お聞かせください。  特に駐車場は、平成5年に川尻地域を訪れる観光客や市民の公共駐車場として整備するため、国鉄清算事業団から購入されたものであり、平成12年の12月議会では、当時の三嶋経済振興局長は、公共駐車場としての利用、市民を初め観光客にも広く憩いの場として活用していただくため、本年度中に整備を行うとのことでありました。ところが、いまだ駐車場としての整備は完全には行われておりません。国の史跡指定がなされた現在、この駐車場の整備は何よりも早く行わなければならないものであります。駐車場の整備はいつまでに行われるのかお聞かせください。  さらに、これに関連して、これまで川尻公園、船着き場、御船手渡しの史跡がある一帯の整備についていろいろと申し上げてまいりましたが、先ほど述べましたように、御蔵、船着き場が国の史跡指定を受けたことは、本市にとって画期的なことであり、これを契機にして、史跡、名所、天然記念物等の文化財を広く一般に供することを目的とする歴史公園として再整備を図ることを考えてはどうかと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、お答えさせていただきます。  まず、1点目の外城蔵跡の修復等、整備計画についてでございます。国史跡の熊本藩川尻米蔵跡は、江戸時代、藩の年貢米の集積、搬出の拠点となった施設でありまして、幕末ごろの蔵2棟と船着き場が現存いたしております。このように、御蔵跡と船着き場がそろって残っているところは、全国的に見てもありませんで、近世の物流、水運の様相を知る上で貴重な史跡でございます。  整備につきましては、まず本年度において、国に対して保存修理に係る補助要望を行い、平成25年度に遺構調査及び米蔵を修理するための実施設計を予定いたしております。この実施設計に基づきまして、平成26年度には西蔵、平成27、28年度には東蔵の保存修理工事を行い、さらに平成29年度には駐車場、トイレ等の便益施設と展示物等の設置を完了させまして、平成30年度に一般公開予定でございます。  駐車場整備についてでございますが、御指摘の駐車場は、平成5年に公共駐車場として、国鉄清算事業団から取得されておりますが、その後、平成12年に多目的広場として整備され、現在、サッカー大会やボランティア活動など、地域で行われるさまざまな行事の駐車場としても利用していただいているところであります。この広場の駐車場としての整備につきましては、今後予定いたしております米蔵跡の整備の状況や地元の御意見を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。  さらには、歴史公園として川尻の御蔵、船着き場等について、歴史公園としての整備をというお尋ねにお答えさせていただきます。  先ほど申し上げましたが、外城蔵跡、船着き場跡及び御船手渡し場跡一帯を歴史公園にとのお尋ねでありますが、歴史公園は、都市計画法に基づく特殊公園でありまして、遺跡や庭園、建築物などの文化遺産の存する土地、もしくはその復元、展示等に適した土地、または歴史的意義を有する土地を選択して配置する公園でございます。  この公園におきましては、文化財等の保護、活用を図り、歴史公園にふさわしい環境が形成されるよう、必要な修景施設等を配置するものとされておりまして、本市におきましては、御案内のとおり、北岡自然公園や田原坂公園及び塚原古墳群などがございます。  お尋ねの一帯は、国の史跡指定を受けました貴重な文化遺産と歴史的意義を有するエリアでございますが、仮に現在の川尻公園を含む一帯を歴史公園として再整備いたします場合、文化財が分散いたしておりまして、区域内に多数の民有地を含むことになりますこと、あるいは法に規定されております建ぺい率の上限など、検討する課題も多い状況にあります。  いずれにいたしましても、本市観光にとりまして貴重な文化財産でありますことから、御提案も含めまして、その整備や活用のあり方につきまして検討してまいります。          〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  これから提案を含めて検討していくということでございますが、当面の問題として、先ほど駐車場の問題を申し上げました。これは多目的広場ではなくて、公共駐車場として購入し、公共駐車場としての整備をするということになっております。多目的広場としての整備ではございません。ただ、そういう内容も含めて整備するということになっているだけでございまして、そういう意味で、今後、私どもといたしましても、史跡指定を受けた後にいろいろな方がおいでになっておりますし、今後もおいでになるだろうと思いますので、早急な整備をお願いしておきたいと思います。  また、歴史公園については、地権者がかなりいるということでございましたけれども、今はほとんどが熊本市の土地、清算事業団の土地、その隣が公園でございまして、今度、御蔵の分は市が購入されました。あと、中に少しほかの地権者がおられるという状況でございますから、一定の条件は整っているのではないかなと思うところであります。  続きまして、県農業試験場跡地及び周辺整備についてお尋ねいたします。このことについて質問するのは、今回が最後かと思いますけれども、早急な対応をお願いしたいと思います。  まず、(仮称)近見駅建設までのスケジュールについてお伺いいたします。  これまでの話からしますと、平成26年度までには新駅の建設が始まるとの説明であったかと思いますが、これから向こう3年間の建設までのスケジュールについてお尋ねいたします。  次に、新駅建設に伴う熊本港線及び周辺道路の整備等についてお尋ねいたします。  第2次熊本市都市マスタープランでは、新駅予定地を含めた島町・上ノ郷地区を西南部拠点として、商業機能など新たな都市機能の集積を促進するとともに、JR新駅の実現に向けた検討を進める地域拠点として位置づけることになっているわけであります。そして、交通拠点としては、既存のバス路線を新駅まで引き込むことによって、鉄道とバスとの結束強化を図り、地理的優位性を生かした大型総合病院や熊本港などを目的とした広域的な乗り継ぎ利用も視野に入れた整備を図ることになっているとのことでございます。駅前広場については、バスベイ、パスプールや駐輪場など、JR、バス、自転車等の結束強化を図るために必要な機能を持つ広場の整備を考えられているようでございます。  これまで申し上げましたように、新駅及び周辺整備については、今後どのようにして整備が進められていくのかという全体像は見えてきたような気がいたしております。しかし、現在の道路の状況を見ますと、熊本港線と鹿児島本線、新幹線高架下の道路の改修は、ロックタウンとの関係や駅前広場のバスターミナルとしての機能から、どうしても考えなければならないことではないでしょうか。さらには、周辺の道路についても、当然のことながら整備を考えていかなければなりません。  熊本港線及び周辺道路の整備については、駅前広場の規模の整理やバスなどのアクセス経路の調査検討を行い、交通管理者や関係機関と協議を行い、その方向性について検討していくとのことでありましたが、どのように整備を進めていかれるお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。あわせて、駅前広場の整備についてもどのようにお考えになっているのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。  次に、農業試験場跡地のD地区の開発及び大型交番の設置についてお尋ねいたします。  平成23年の県議会の9月定例会の中で地元の鎌田県議会議員が、農業試験場跡地4区画のうち、A、B、Cの3区画については開発を進めることになっている。しかし、A区画が準工業地域から近隣商業地域への用途変更が進んでいないことから、変更手続を進めることと、A区画の利活用に向けた取り組みを求めています。さらに、D区画への交番の設置についても、地域住民の安心安全の要望を踏まえ、交番整備を取り上げているわけであります。それに対し、警察本部長は、近隣の交番、駐在所の治安情勢や将来を見据えた同地域の発展状況などを勘案しながら、建てかえを含めて検討していくと答弁をなされております。  先ほど申し上げましたように、第2次熊本市都市マスタープランの中でもうたわれておりますように、西南部の拠点としての整備がこれから進められていくことになります。その中でもD地区の開発及び交番の設置も、このような動きにあわせ、県や関係機関に積極的に働きかけていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。          〔青柳太都市建設局長 登壇〕 ◎青柳太 都市建設局長  県農業試験場跡地及び周辺整備に関します3点の御質問につきましてお答え申し上げます。  まず、1点目の新駅の建設でございますが、平成22年度から必要な調査、検討を実施しますとともに、逐次JR九州との協議を進めておりまして、さらに本年3月には市長がJR九州社長に新駅の早期設置に向けた要望書を提出するなど、設置に向けた取り組みを進めているところでございます。  今後のスケジュールとしましては、挑戦元年アクションプランに基づき、平成27年度中の新駅設置に向け、本年度中に覚書及び基本協定の締結、平成25年度に詳細設計、平成26年度からの工事着手を予定しております。  次に、2点目の新駅建設に伴う周辺道路、駅前広場の整備についてでございますが、新駅周辺の島町・上ノ郷地区につきましては、第2次熊本市都市マスタープランにおきまして、西南部地区の地域拠点に位置づけており、今後、新駅の設置を契機に、公共交通のさらなる利便性向上に取り組む必要があると考えております。  そこで、東バイパスライナーを初め、既存バス路線を駅前広場に乗り入れ、西南部地域の交通結節拠点のみならず、東バイパス沿線の大型総合病院や熊本港などへのアクセスを強化し、広域的な乗り継ぎ利用も視野に入れた公共交通の拠点としたいと考えております。加えて、サイクルアンドライドなど、新駅を活用した公共交通利用促進策も展開していきたいと考えており、これらを踏まえ、駅前広場の詳細につきましては、今後、JR九州と協議しながら具体化を図っていく所存でございます。  また、熊本港線及び周辺道路の整備につきましては、新駅建設や、それに伴う駅前広場の整備、さらに農業試験場跡地の土地利用促進によりまして、ますます周辺地域の円滑な交通処理が重要になるものと認識しているところでございます。  しかしながら、熊本港線から駅前広場へ直接アクセスするには、熊本港線の道路構造上、左折によります出入りしかできないため、新駅予定地の西側にある2車線で両側歩道を有します刈草2丁目島町4丁目第1号線から市道薄場町八幡町第2号線、通称NEC通りでございますが、こちらを経由するなどにより、アクセスを確保することが必要であります。  したがいまして、今後は農業試験場跡地のうち、A・D地区の土地利用の状況や交通量の変化、公共交通機関の運行計画を確認した上で、市道薄場町八幡町第2号線から熊本港線へ入る右折レーンを延伸するなど、周辺道路の整備を含めた円滑な交通処理について検討してまいりたいと考えております。  3点目のD地区の開発及び大型交番の設置についてでございますが、県が所有するD地区につきましては、公共的利活用の可能性を勘案し、平成15年度に実施された農業試験場跡地開発事業提案協議の対象から外されておりまして、他の3地区の利活用や新駅設置の状況等を踏まえ、具体的な利活用方針につきまして検討を行うと聞いているところでございます。今後、本市が行う駅前広場の整備とあわせ、地域拠点にふさわしい開発が行われるよう県に働きかけてまいります。  また、地元の皆様からも要望がある大型交番の設置につきましては、引き続き検討していただくよう県警にお願いしてまいりたいと考えております。          〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  農業試験場跡地の関係については、これから3年から4年ぐらいの間に進められることになります。一日も早い事業の促進をお願いして、次に移りたいと思います。  南西部地域の治水対策についてお尋ねいたします。  昨年、南西部地域の治水対策についてお尋ねいたしましたが、九州北部豪雨災害の関係もあり、改めて本市南西部の加勢川、天明新川、木部川の河川改修状況及び今後の治水対策についてお伺いいたします。  昨年6月議会では、南西部の治水対策、ゲリラ豪雨に見られる想定外の降雨等に対応した治水対策、加勢川、天明新川の河川改修の進捗状況と今後の河川改修計画についてお尋ねいたしました。それに対し、当時の高田都市局長からは、南西部の治水対策は、内水排除に加え、調整池の設置と支川である河川や水路などの整備を行うことで、治水安全度を高めるとのことでありました。御幸木部1丁目の県道田迎木原線付近から浜線健康パークまでの2キロ区間の旧天明新川改修計画を策定し、国との協議を行っているとのことでございました。  想定外の降雨に対応した治水対策については、総合計画に基づく28カ所と、特に浸水被害が広範囲にわたる重点6地区に治水対策事業を進めているとのことでもございました。加勢川、天明新川整備の進捗状況と今後の改修計画については、国の直轄である加勢川の改修状況は、今後、平成9年7月出水規模の流量、毎秒約870トンに対応するため、河川改修が進められるとのことでもございました。県管理の天明新川は、JR鹿児島本線の鉄道橋から下部がおおむね完了、進捗率は事業費ベースで78%、今後は鉄道橋部分の改築を約4カ年で行う予定とのことでもございました。  平成24年に瀬の江ポンプ場ができ上がり、浸水地域であった地域でその効果は早速出ているとのことでもございます。御幸木部1丁目から浜線健康パークまでの2キロの区間の河川改修には、10年余りかかるとのことでもございました。これが終われば、さらに中央病院付近の浸水対策にもつながるものと思われるわけであります。河川改修には、10年、20年といった長い期間を必要といたします。  今回の九州北部豪雨災害の経験からして、かつて計画された防災公園等の必要性が高まっているのではないかと思うものでもございます。総合防災公園のことにつきましては、ここでは詳しくは申し上げませんが、災害対策本部補完施設、大規模多目的広場、備蓄倉庫、防災学習センター、体験訓練等訓練施設、調整池などの機能を備えたもので、規模はおおむね25ヘクタールから30ヘクタールとのことでもありました。建設地としては、御幸西無田町、元三町、御幸木部町、御幸笛田町にまたがる区域が最も適当であるとのことでもございました。本市としての今後の災害対策をどのようにしていくのか、今回の災害で問われているわけであります。  そこで、お尋ねいたします。  まず、改めてお伺いいたしますが、今回の災害を教訓として、当然のことながら、河川改修についても取り組みを進めていかなければならないと考えますが、これまでの加勢川、天明新川、木部川の河川改修の状況と今後の改修計画はどのようになっているのでしょうか。  次に、先ほど申し上げました防災拠点としての防災公園の再考をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。          〔青柳太都市建設局長 登壇〕 ◎青柳太 都市建設局長  私からは南西部地域の治水対策につきましてお答え申し上げます。  まず、加勢川の河川改修の状況と今後の改修計画についてでございますが、国直轄区間につきましては、流下能力が不足している六間堰から上流端の大六橋区間のうち、現在、南区美登里地区におきまして、河道の掘削工事が行われておりますが、今後は川尻町、中無田町、元三町等につきましても、河道の掘削が行われる予定でございます。  また、既設堤防の高さ、幅が不足しております南区川尻町、中無田町、富合町杉島、野田町につきましては、築堤及び既設堤防のかさ上げ、拡幅等が行われる計画であります。  なお、掘削に当たりましては、特に河川環境や周辺地下水及び上流の江津湖等への影響を検討する必要がありますことから、平成24年1月に加勢川上流地区河川整備協議会が設置され、同年2月から調査に入り、野田堰の運用を変更し、通年閉門とすることによる影響を3カ年程度で継続的に調査することとされております。  次に、県管理の天明新川でございますが、昭和54年に事業着手され、南区川口町の緑川合流点から近見町の国道57号までの11.4キロメートル区間の改修を行う計画であり、これまでに河口部から南区八幡1丁目のルネサス付近のJR鉄道橋までは、暫定計画での整備がおおむね完了している状況でございます。  現在、最も流下能力が不足しておりますJRの鉄道橋横断区間の改築を行っており、今後、約4年間で改築を完了する予定であると伺っております。  次に、木部川につきましては、流域内の調整池等によります流出抑制及び流域内の河川、水路等の整備を行いますとともに、排水機場建設による加勢川への排水などを治水対策として、平成19年2月に熊本県により河川整備計画が策定されており、その後、早急な浸水被害軽減のための瀬の江ポンプ場に着手され、本年稼働したところでございます。  なお、本市で管理します旧天明新川につきましては、流域内の南部地域が低平地であり、降雨時に放流先である加勢川の水位が上昇しますと、自然排水ができずに、浸水被害が発生している状況にありますことから、本年4月に準用河川として事業採択を受けたところでございます。  事業内容といたしましては、南区御幸木部1丁目の県道田迎木原線交差点付近から浜線健康パークの区間につきまして、川幅の拡幅など河川改修を行うとともに、その下流につきましても、合流する加勢川の整備計画を考慮し、しゅんせつ工事、護岸工事による流下能力向上、元三排水機場の効率的な排水などを行うことによりまして、浸水被害の軽減を図ることとしております。          〔飯銅芳明総務局長 登壇〕 ◎飯銅芳明 総務局長  私の方からは防災拠点としての防災公園を再考してはというお尋ねにお答えいたします。  お尋ねの総合防災公園は、平成7年の阪神・淡路大震災を契機に13年に作成されました基本計画の中で、災害対策本部や地域の防災拠点と連携し、有機的に機能する救助活動、復旧復興活動を円滑に行うための後方支援機能を持つ広域防災拠点として計画されたものであります。  このような中、現在、本市では、地域防災計画の中で現地活動の拠点、また物資の集積や情報の収集伝達などの地域の救援活動、復旧復興活動を実施する地域の身近な防災拠点といたしまして、市役所及び区役所、総合出張所、出張所、消防関係施設を指定して、これらの機能の拡充を図っているところでございます。  また、市内の小中学校等の一時避難場所に、新たに非常食料、生活必需品等を分散して備蓄する計画を進めるなど、全市域におきまして、地域での避難拠点施設の整備も進めているところでございます。  総合防災公園の御提案でございますが、今後は、今回の豪雨災害や昨年の東日本大震災などのさまざまな過去の教訓を生かして、防災拠点施設の整備を進め、安全で安心して暮らせる災害に強いまちづくりに努めていきたいと考えております。
             〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  河川改修につきましては、加勢川につきましても、国も県もいろいろと努力をされているようであります。天明新川は、市内の3分の2ぐらいの排水を一手に引き受けているわけであります。大体70数%の整備率ということでありますが、一番肝心かなめのJRの下の橋がまだ進まない。それは4年かかってという説明でもございました。それに伴いまして、あと橋が4つ残っているわけであります。ここがネックになっていることは間違いございませんし、県も財政状況が非常に厳しい中で何十億円というお金を使うことになりますから、なかなか難しい状況はわかりますが、一日も早くこの改修が進められるように関係機関への働きかけをお願いいたしたいと思います。ほぼ土地の買収は終わっているわけでありますので、あとは工事にいかに着工するかということであります。どちらにしても4年ということでありますから、それを見守ってまいりたいと思います。  次に、交通事業についてお尋ねいたします。  本市の交通事業を見てみますと、大正13年に熊本駅から浄行寺、水道町から水前寺までが開通し、実質的に市電の事業が始まっているようでございます。バスは、昭和2年11月に市営バス本営業開始となっております。簡単に申し上げましたけれども、電車は87年、バスは85年の歴史を刻んできたわけであります。その間、昭和49年1月に交通局が赤字再建団体に指定され、市民はもとより、職員にも多くの犠牲を強いることになったわけです。それからの交通事業は、多くの関係者の努力と市民の支援により、今日に至っています。  そして、今、財政健全化法に基づく交通事業の再建に向け取り組みが進められておりますが、私たちは、本市の交通事業は、福祉の増進の観点や移動する権利を保障すること等について、重要な役割を持っており、市民の貴重な市営バス路線をコスト的論点から民間バス会社へ全面移譲することなく、市営バスを含めた路線再編により、質の高い、よりよいサービスを市民、利用者に提供することを求めてまいりました。  そのような中での市営バスの路線移譲は、見る限り順調に進んでいるようでありますが、コスト的な面ばかり前面に出て、市民の足である交通事業を将来にわたってどのようにしていくのかが不透明なような気がしてなりません。現在、熊本市公共交通協議会のバス路線網再編部会で、バス路線網の再編等について話し合いが行われているようでありますが、その協議の状況について、まずお聞かせいただきたいと思います。  次に、電車事業についてお伺いいたします。  この問題についても、平成23年第4回定例会の中で我が会派の福永議員が電車事業の将来について幸山市長にお尋ねしたのに対し、JRなどの鉄軌道とともに公共交通ネットワークの基軸として考えているとのことでございました。私は、これまでのお話をお聞きしておりますと、将来にわたって電車事業は直営で残していかれるものと理解いたしておりましたが、それで間違いはないでしょうか、お尋ねいたします。  そうであれば、交通事業が財政健全化法に基づきバス路線の路線移譲が進められている中でありますが、電車事業については、少なくとも電車の運行にかかわる職員については、嘱託ではなく正規の職員の採用をしていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  公共交通に関しまして2点お答えいたします。  まず、1点目、バス路線網再編部会についてでございますが、本市におきましては、今年度、公共交通再生元年と位置づけまして、3月に策定いたしました熊本市公共交通グランドデザインの具体化に向け、さまざまな取り組みを進めているところであります。  このような中で、市民の日常生活を支える、わかりやすく効率的なバス路線網の再編は、公共交通再生の重要な柱の一つと位置づけまして、昨年8月に発足いたしましたバス路線網再編プロジェクトを中心に検討しておりまして、本年度中には、その取り組み内容、スケジュール、役割分担などを明確にした実施プログラムを策定することといたしております。  お尋ねのバス路線網再編部会における協議状況についてでございますが、本年7月に開催いたしました第1回部会におきましては、これまでのプロジェクトの検討状況や取り組み状況などを報告し、御議論いただいたところであります。  その中では、特に民間会社の共同出資により設立された熊本都市バスを活用した一元的なダイヤ編成など管理運営体制の構築について、「市民の利便性向上とバス事業者の経営効率化を達成するには、バス運行体制の一元化が必要」といった御意見や、「クリアすべき課題も多いが、交通局のバス路線を民間に移譲しているこの機会に、民間各社がバス網再編をやらなければならないという強い意思を持って取り組む必要がある」といった意見も出されているところであります。  今後、市議会や公共交通協議会等での御議論を踏まえまして、長年の課題でもあります効率的で利便性の高いバス路線網再編の実現に向けまして、本市がリーダーシップを発揮し、事業者とともに取り組んでまいる所存であります。  続きまして、将来にわたりましての電車事業のあり方についてのお尋ねでございますが、私は、路面電車は本市公共交通ネットワークの基軸と位置づけておりまして、加えまして、そのシンボル性においても本市の貴重な財産であるととらえております。そのようなことから、将来にわたりまして路面電車を守っていくということは、本市の重要な役割と認識いたしておりまして、まずは平成27年度を目標とした現行の交通事業経営健全化計画の達成に全力を挙げて取り組みますとともに、路面電車を積極的にまちづくりの中で生かしていきたいと考えております。          〔松永浩一交通事業管理者 登壇〕 ◎松永浩一 交通事業管理者  私からは電車運行に携わる正規職員の採用についてお答えいたします。  現在、交通局では、平成22年第1回定例会で議決を受けました熊本市交通事業経営健全化計画におきまして、バス事業の移譲、利用促進に向けた取り組み、経営の合理化などを柱といたしまして、経営改善に取り組んでいるところでございます。その計画では、新規の正規職員につきましては、原則不補充とすることといたしておりまして、計画期間の最終年度である平成27年度末には資金不足の解消が図られるよう、局内一丸となって最大限の努力を傾注しているところでございます。  このようなことから、現時点では、電車運行に携わる正規職員の新規採用は困難であると考えておりますが、バス路線の移譲に伴いまして、バス運転士の電車事業への配置転換を行うなどによりまして、正規職員の確保に努めてまいります。          〔50番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  将来にわたって電車事業は直営でされるのですかというお尋ねをしましたけれども、市長からは、それに対してはお答えがございませんでした。今、管理者から話がありましたように、27年度でバスの路線移譲、そのことによって財政健全化に対する取り組みは一定の節目を迎えるわけでありますが、それ以降の電車事業そのものが直営ということでお答えがないということは、電車事業はもとより、バス事業は27年度までに路線移譲がすべて終わるわけですから、それ以降、交通事業からは熊本市は撤退するのかという思いが浮かんでくるわけであります。  私は決してそういうことはないのではないか。市長のお話からしても、電車事業は直営でやっていきますよというようにだれでも受けとめているというふうに思っておりましたし、なぜそのことにお答えにならないのか不思議でなりません。どちらにしましても、このことは交通事業で働かれる方々に不安を与えることであります。やはり今後の熊本市の交通事業を考えるときに、その点については、はっきり申し上げるべきではないかなという気がいたします。  この間に比べますと30分ほど早うございますけれども、言いたいことはすべて申し上げましたので、これで私の今回の質問は終わらせていただきます。御清聴いただきました議員の皆様、また傍聴者の皆様方に心から御礼を申し上げまして、私の今回の質問にかえさせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)       ─────────────────────────── ○田尻将博 副議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。  この際、お諮りいたします。  9月1日、2日の両日は、休日のため休会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。          (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○田尻将博 副議長  御異議なしと認めます。  よって、9月1日、2日の両日は、休会することに決定いたしました。  次会は、9月3日(月曜日)定刻に開きます。       ─────────────────────────── ○田尻将博 副議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                              午後 3時38分 散会 〇本日の会議に付した事件 一、議事日程のとおり 平成24年8月31日 出席議員 49名       1番   津 田 征士郎        2番   田 尻 将 博       3番   小佐井 賀瑞宜        4番   寺 本 義 勝       5番   高 本 一 臣        6番   西 岡 誠 也       7番   福 永 洋 一        8番   田 上 辰 也       9番   浜 田 大 介       10番   井 本 正 広      11番   大 島 澄 雄       12番   原 口 亮 志      13番   くつき 信 哉       14番   松 野 明 美      15番   田 中 敦 朗       16番   重 村 和 征      17番   上 田 芳 裕       18番   那 須   円      19番   園 川 良 二       20番   藤 永   弘      21番   紫 垣 正 仁       22番   澤 田 昌 作      23番   倉 重   徹       24番   大 石 浩 文      25番   田 尻 善 裕       26番   白河部 貞 志      27番   上 野 美恵子       28番   有 馬 純 夫      29番   藤 岡 照 代       30番   満 永 寿 博      31番   三 島 良 之       32番   齊 藤   聰      33番   坂 田 誠 二       34番   藤 山 英 美      35番   田 中 誠 一       36番   東   すみよ      37番   家 入 安 弘       38番   鈴 木   弘      39番   竹 原 孝 昭       40番   牛 嶋   弘      41番   税 所 史 熙       43番   落 水 清 弘      44番   江 藤 正 行       45番   下 川   寛      46番   田 尻 清 輝       47番   古 川 泰 三      48番   北 口 和 皇       49番   益 田 牧 子      50番   田 辺 正 信 説明のため出席した者   市長       幸 山 政 史    副市長      西 島 喜 義   副市長      寺 崎 秀 俊    総務局長     飯 銅 芳 明   企画振興局長   高 田   晋    財政局長     岡   昭 二   健康福祉子ども局長續   幸 弘    環境局長     原 本 靖 久   農水商工局長   多 野 春 光    観光文化交流局長 坂 本   純   都市建設局長   青 柳   太    消防局長     大 塚 和 規   交通事業管理者  松 永 浩 一    上下水道事業管理者宮 原 國 臣   教育委員会委員長 大 迫 靖 雄    教育長      廣 塚 昌 子   代表監査委員   堀   洋 一    農業委員会会長  森   日出輝   中央区長     前 渕 啓 子    東区長      西 島 徹 郎   西区長      永 田 剛 毅    南区長      永 目 工 嗣   北区長      石 原 純 生 職務のため出席した事務局職員   事務局長     大 杉 研 至    事務局次長    木 村 建 仁   議事課長     富 永 健 之    議事課長補佐   緒 方 宏 行...